
法人が生命保険に加入し、役員の退職金の原資を積み立てることは実務ではよく見られます。
この場合、死亡退職金の原資にもなることから、その役員を被保険者にした死亡保険金に加入することが多いです。
このとき、実際に役員が死亡して死亡保険金が支払われた場合、その保険金をどのタイミングで収益とするかが問題になります。
この点、国税の内規では保険会社からの死亡保険金を支払う旨の通知日の収益になると解説されています。
死亡保険金の場合、保険金を請求してもすぐ支払われるという訳ではないからです。
具体的には、保険会社が調査した上で支払いが問題ないか判断をした上で、支給されることになります。
このため、会社が死亡保険金を請求しても実際に支払われるかは調査結果を待つ必要がありますから、支給が決定された後の保険会社の通知を待って収益とする訳です。
少し脱線しますが、この調査という点を踏まえれば、同じ保険会社からもらう解約返戻金などは、通知日を待つ必要がなく、請求段階で収益とするのが妥当なように思われます。
解約返戻金は事前に決めた条件に基づき、生命保険の契約者が解約した際には当然貰えるお金ですから、保険会社も特に調査せず、送金をしていると考えられるからです。
死亡、請求、調査、通知というステップで支払われるとした場合、死亡保険金を請求できるのに敢えて請求しない、といった場合には節税につながる可能性があります。
法人税は年度ごとに課税されますから、赤字が出る年度に請求することで、その赤字と通算ができますから死亡保険金に係る収益に対する課税を制限することができるからです。
実際、役員が死亡してから数カ月たってから死亡保険金の請求をした事例がありました。
この事例においては、死亡年度後に保険会社から通知がなされることになりました。
結果として、収益計上した年度が死亡年度後となった会社に対し、死亡年度において収益計上が必要であるとして、税務当局が課税しています。
この事例は国税不服審判所で争われ、国税の課税処分は違法とされました。
理由として、請求が送れているとはいえ、意図的に遅らせた訳ではなく、会社の事情に照らして遅れてしまったものであるからです。
このため、通知日で収益計上したとしても課税上の弊害がないから、と判断されています。
確かに、被保険者が死亡しても、死亡保険金は自動的に支払われるとは限りませんから、死亡日の収益とすべき、という税務当局の課税は乱暴と思われます。
こういう訳で、意図的に請求を遅らせるようなことがなければ、死亡保険金については保険会社からの通知日の収益にすれば問題ないと考えられます。
しかし、本事例のように死亡日の収益と指導されることもありますので、何故死亡保険金は通知日の収益となるのか、この背景についても説明できるようにしておくべきでしょう。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。









