特定収入と出向負担金:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

税理士でも頭を悩ませる消費税の論点の一つに、特定収入があります。

特定収入とは、補助金など消費税が課税されない一定の収入を意味します。

消費税が課税されない収入ですので、一般企業では全く問題になりませんが、公益法人等ではこれが問題になるのです。

公益法人は営利を目的としていませんので、国から受ける補助金などでその事業を運営することが多くあります。

公益法人の経費のうち、消耗品費や事務所の家賃には、消費税が課税されます。

このため、これらの経費については消費税の控除が認められますが、その原資が補助金となると、その補助金に消費税は課税されません。

結果として、消費税の控除ができる経費が売上を超えてしまい、通常の計算では消費税が還付されることが多いのです。

補助金をたくさんもらう公益法人だからこそ、こういう事態が生じてしまいます。

このため、補助金に加えて消費税の還付も受けられるのは弊害があるとされています。

具体的には、公益法人等は補助金などの特定収入を貰った場合、その特例収入に対応する経費として計算される、一定の金額については、消費税の控除対象から除くこととされています。

このため、公益法人が受ける収入が特定収入に該当するか重要になりますが、その判断は非常に複雑です。

正確な特定収入の定義は、補助金などの一定の不課税の収入で、具体例としては会費や寄附金、損害賠償金などを意味すると言われます。

しかし、個々の収入が特定収入に該当するかは個別に判断せざるを得ず、先日の裁決事例で問題になったのは出向負担金です。

この事例においては、消費税が課税されない出向負担金は特定収入に該当すると判断されましたが、これは非常に違和感があります。

なぜなら、出向負担金は出向者給与に充てられるからです。

給与に消費税は課税されませんので、給与をいくら払っても消費税還付はあり得ません。

実際、「法令又は交付要綱等」によって、消費税の対象にならない経費に使途が特定されている不課税の収入については、特定収入に当たらないとされています。

しかし、この裁決では、出向負担金の使途は「法令又は交付要綱等」ではなく、「出向負契約」で決まるため特定収入に該当する、というものでした。

言われてみればその通りですが、給与にしか使えないことは間違いない訳で、非常に酷な判断になっています。

困ったことに、この複雑な特定収入が問題になるケースが飛躍的に増えています。

なぜなら、一般社団法人も公益法人扱いされるからです。

一般社団法人は設立しやすいこと、そして相続税対策にも使えることから非常に数が多いです。

しかし、その消費税申告では特定収入が必ず問題になりますので、処理を間違えることがないよう、注意が必要です。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:特定収入と出向負担金– 経営・会計コンサルティング

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