
所得税は、日本に住所がある居住者と、そうでない非居住者で課税される所得の範囲が大きく異なるため、住所の判断で税務当局とトラブルになります。
とりわけ、居住者は全世界の所得に課税されますから、往々にして税務当局は日本に住所があると指摘します。
この住所ですが、「生活の本拠」を意味すると言われています。
生活の本拠とは、職業や住居などの資産の所在などを基に、事実関係を総合的に見て判断されると解説されています。
しかし、近年は国外転出が一般的になったり、インターネットが普及したりしたこともあって、
従来は目にしなかったような住所の判断基準が示されることがあります。
先日の事例では、外国法人の社長の住所が問題になりました。
この事例において、その社長は、外国にある自社の社宅が住所地であるため、非居住者に該当すると主張しています。
しかし、その社宅はホテルのような便宜上の滞在場所に過ぎず、生活の本拠である建物、すなわち住居とは言えないと判断されています。
とりわけ、この社宅については、外国法人の負担で家具が備え付けられており、そして水道光熱費などもこの法人が支払っていたことが問題視されています。
生活の本拠なら長期的に滞在する場所のはずです。
しかし、社長は社宅に係る生活費の支出をほとんどしておらず、外国法人がこれらの負担をしていることが問題視されています。
具体的には、外国法人の業務を行う間だけ寝泊りする、寮や出張所と大差がなく、住所とは言えないという判断になっています。
流石に、遠方の支店に出張する時にだけ宿泊する会社の宿舎に住民票を移転しませんので、このような判断が示されたと思われます。
この事例とは異なり、社宅に1年中住んでいるようなケースは、その社宅は住所と判断されるはずです。
このため、社宅を住所と主張することができない、という訳ではありませんが、国外転出をしている富裕層は注意しなければなりません。
なぜなら、このような富裕層の方は、日本で会社を経営している経営者で、その経営している会社の国外ビジネスを行うという名目で税金対策も兼ねて、国外移転することが多いからです。
国外で自社の仕事を行うのであれば、日本の会社が国外転出した経営者のために、社宅を社長の滞在国に設けてそのコストを会社で落とす、といった処理を行っている方も多いはずです。
そうなると、上記の社宅と同様の問題が発生する可能性がありますので、社宅に係るコストを会社で負担しすぎないように注意しなければなりません。
それに止まらず、国外転出した経営者は、日本の会社の経営も仕事ですから、小まめに帰国することが通例です。
そうなると、外国の社宅に1年を通して住むことはない訳で、滞在国の社宅に滞在する日数をできるだけ増やすことにも、心掛ける必要があります。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。









