税理士法人とは?税理士事務所・会計事務所との違いをわかりやすく解説

会計事務所や税理士法人とはどのようなものなのでしょうか?

ここでは一般の方々には馴染みのない「会計事務所」や「税理士法人」についてわかりやすく解説します。

この記事の要点

  • 税理士法人とは、平成13年の税理士法改正で創設された制度で、社員税理士2名以上で設立する法人です。
  • 「会計事務所」は俗称・総称であり、会計士事務所・税理士事務所などをまとめて指す呼び方です。
  • 令和8年6月末日現在、税理士法人の届出数は主たる事務所5,304件・従たる事務所3,134件です(日本税理士会連合会調べ)。
  • 税理士法人は、個人の税理士事務所や監査法人とは組織形態・業務範囲・責任の負い方が異なります。

税理士法人とは?

平成13年の税理士法改正により、それまで個人としてしか出来なかった税理士業務を法人として行うことが出来るようになりました。複数の税理士が共同して税理士業務を行うことにより、納税者の利便性を向上させることを目的としています(日本税理士会連合会「税理士制度」)。

税理士法人のサービス内容は、会計事務所とほぼ同様です。ただ、複数の税理士が共同して業務に当たることができるため、従来より規模の大きな案件や、複雑な案件、専門性の高い案件等を扱っていることが多いと言えます。具体的には、移転価格コンサルティング、国際税務、税務訴訟支援などがあります。

税理士法人の設立要件

税理士法人を設立するには、税理士が2名以上いなければなりません。また、税理士法人の社員(出資者である税理士)は税理士に限られており、社員が1名のみとなった状態が一定期間継続すると法人が解散するものとされています(税理士法48条の4・48条の18)【要人間確認: 税理士法の条文番号と内容の目視確認】。詳細な要件は税理士法(e-Gov法令検索)でご確認いただけます。

社員税理士の無限連帯責任

税理士法人の社員(出資者である税理士)は、法人が負った債務について、社員全員が連帯して責任を負う「無限連帯責任」を負うとされています。株式会社の株主が出資額の範囲内でのみ責任を負う「有限責任」とは異なり、法人の業務によって生じた責任を社員税理士が個人としても負う仕組みです。複数の税理士が共同して組織的に業務を行える自由度と引き換えに、社員には重い責任が伴う点が、税理士法人の特徴の一つといえます。詳しくは日本税理士会連合会「税理士制度」をご参照ください。

なお、税理士法人に雇用されて働く税理士は「所属税理士」と呼ばれます。詳しくは所属税理士とはをご参照ください。

税理士法人の数

日本税理士会連合会の発表によると、令和8年6月末日現在、税理士法人の届出数は主たる事務所が5,304件、従たる事務所が3,134件となっています(参考として、税理士登録者数は82,297名です)。詳細は日本税理士会連合会「税理士登録者数等」でご確認いただけます。

税理士事務所・会計事務所との違い

会計事務所とは顧客の会計業務を請け負うところの通称であり、会計士事務所、税理士事務所などがそれにあたります。会計事務所は誰でもその名称を使用することが出来ますが、会計士事務所、税理士事務所については、それぞれ公認会計士法、税理士法によって使用について制限されています。

個人の税理士事務所との違い

一方、個人で税理士業務を行っている税理士には出来て、税理士法人には出来ないことがあります。税理士資格によらずに行うことの出来る保険代理店業や不動産貸付業等です。税理士法人は、納税者の利便性を向上させるために、税理士業務を組織的に行うことを目的としているため、税理士業務の範囲から外れることについては税理士法で規制されています。

また、税理士法人は複数の事務所(本店・支店)を設けて組織的に業務を行うことができる点も、個人の税理士事務所と異なる特徴です。個人の税理士事務所は税理士本人が業務主体となるのに対し、税理士法人は複数の社員税理士が共同で法人を運営するため、担当者の異動や退職があっても組織として業務を継続しやすいという特徴があります。

監査法人との違い

監査法人は、上場会社などの大企業の監査(財務諸表監査)を組織的に行うために、公認会計士によって設立される法人です(日本公認会計士協会「監査法人/有限責任監査法人」)。一方、税理士法人は税理士法に基づき、税務代理・税務書類の作成・税務相談などの税務業務を主な業務としています。「独立した第三者の立場で企業の財務情報の適正性をチェックし保証する業務」を担うのが監査法人(日本公認会計士協会「日本の監査制度」)、「税額計算や申告など、納税者の立場に立って支援する業務」を担うのが税理士法人という違いがあり、扱う専門資格(公認会計士・税理士)も異なります。両者の違いをより詳しく知りたい方は、「公認会計士と税理士の違いを徹底解説!」もご参照ください。

 

会計事務所・税理士法人のサービス

会計事務所・税理士法人が提供するサービスの全体像(種類・選び方を含む)については、会計事務所の仕事内容・種類・選び方で詳しく解説しています。ここでは、会計事務所・税理士法人に共通する代表的なサービス内容を説明します。

会計事務所のサービス

会計事務所が展開しているサービスは、事務所の規模や所属している税理士・公認会計士の持つ専門性によって異なります。ここでは、会計事務所の主なサービス内容を説明します。

【税務業務】

税理士の独占業務である、税務代理、税務書類の作成、税務相談を行います。主に法人に対しては法人税や消費税、個人に対しては所得税や相続税についての税務が中心となります。会計事務所の所員が2月後半から3月前半にかけて特に忙しくなるのは、個人顧客の所得税の申告期限が3月15日にあるためです。また、会社の年末調整(※)を多く代行している会計事務所では、年末も繁忙期となります。

※年末調整とは:本来、一般のサラリーマンや公務員は1年分の所得について所得税を計算し、国に納付しなければなりません。ただ、1年分をまとめて納付すると高額になり負担が大きいことや、国が個々人に対応すると手数がかかることから、給与を支払っている者が12月の給与が確定してから1年分の所得税等を計算し、過不足を調整する制度が出来ました。

【会計業務】

記帳代行や、給与計算、試算表の作成、財務諸表の作成を行います。記帳代行は会計ソフト(弥生会計や、PCA会計など)を用いて、原始資料(領収書や振替伝票など)からPCへデータ入力します。会計事務所によっては、納税者が自ら経理業務を行うことが出来るように、会計ソフトを導入してもらい、使用方法の指導をするところもあります。

【財務・経営相談業務】

財務状態の健全化のため、資金繰りの支援を行います。具体的には、銀行から融資を受けるための資料(事業計画書など)作成や、銀行との交渉等を行います。その他、経営コンサルティング、創業支援、相続・事業承継、M&A、保険など、会計事務所によってサービス内容は多岐に渡ります。

税理士法人で働くという選択肢

税理士法人は、BIG4系や独立系の大手法人から、地域密着の中小規模の法人まで、規模や特徴はさまざまです。一般に、規模の大きな法人ほど部門・専門分野ごとの分業が進み、国際税務やM&A、移転価格コンサルティングなど専門性の高い業務に携わる機会が増える傾向があります。一方、中小規模の法人では、税務・会計から経営相談まで幅広い業務を一人で担当することが多く、キャリアの早い段階から顧客対応を主体的に任されやすいという特徴があります。税理士を目指す方や転職を検討している方は、法人の規模や特徴を踏まえて、自分に合った職場を探すことがポイントになります。大手・準大手会計事務所やBIG4税理士法人の特徴、税理士の仕事内容や資格取得の流れについて詳しくは、以下の記事もご参照ください。

よくある質問

Q. 税理士法人と税理士事務所(個人)は、どちらに依頼しても同じですか?

提供できる税務・会計サービスの内容自体に大きな違いはありませんが、税理士法人は複数の社員税理士が組織的に業務を行うため、担当者の異動や急な不在があっても組織として対応しやすく、規模の大きな案件や専門性の高い案件に対応しやすい傾向があります。個人の税理士事務所は、税理士本人との距離が近く、小回りの利いた対応を受けやすい点が特長です。依頼先を選ぶ際は、案件の規模や専門性、担当者との相性なども踏まえて検討することをおすすめします。

Q. 「社員税理士」とは何ですか?一般企業の「社員」と違いますか?

一般企業で「社員」というと従業員を指すことが多いですが、税理士法人における「社員」は出資者である税理士を指し、一般企業でいう役員や出資者に近い立場です。税理士法人の社員は法人の業務執行に携わるとともに、法人の債務について無限連帯責任を負う点が、一般企業の社員(従業員)とは大きく異なります。

Q. 税理士法人と監査法人はどう違いますか?

本文「監査法人との違い」で解説の通り、監査法人は主に大企業等の財務諸表監査を行う公認会計士の法人であり、税理士法人は税務代理・税務書類の作成・税務相談などの税務業務を行う税理士の法人です。扱う専門資格や業務の性質が異なります。

Q. 税理士法人で働くメリットは何ですか?

本文「税理士法人で働くという選択肢」で触れた通り、組織として業務を行うため、規模の大きな案件や専門性の高い業務に携わる機会を得やすいことや、複数の税理士と協力しながら業務にあたれることなどが挙げられます。法人の規模によって業務の幅や専門性の深さが異なるため、自分のキャリアの方向性に合った法人を選ぶことがポイントです。

まとめ・関連記事

本記事では、税理士法人の定義・設立要件・社員税理士の責任から、税理士事務所(個人)・監査法人との違い、税理士法人で働くという選択肢まで解説しました。会計事務所全般のサービス内容や選び方については会計事務所の仕事内容・種類・選び方を、公認会計士と税理士の違いについては公認会計士と税理士の違いもあわせてご参照ください。

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