
税務当局の内情を知らない、国税OBでない税理士の方がびっくりされることの一つに、内訳書に対する税務当局の考え方があります。
法人税の申告書には、預金や売掛金などの勘定科目ごとに、その内訳を明記する内訳書を添付しなければならないとされています。
この内訳書には、取引先ごとの名称や住所、そして金額を記載する必要があるとされていますので、単純作業ですが作成は大きな手間です。
しかし、税務当局は、苦労して作る内訳書をほとんど見ていません。
なぜなら、内訳書の項目を細かく見ても税務調査において不正発見につながるとは限りませんし、事前に詳細に検討する時間も取れないからです。
このため、内訳書の記載が適当な場合でもあまり問題にはなりません。
例えば、取引先ごとの住所や金額が空欄であったり、個別に記載しなければならないのに「その他〇件」といった形で記載を省略したりしても大丈夫です。
このため、事務負担を軽減するためにも、そして変な追及を受けないためにも、内訳書の記載はむしろ簡素にするのが重要になります。
国税OBはこのことをよく分かっていて、税務当局に提出する書類については、ざっくりとしたものを提出するように指導します。
書類なんてろくに税務当局の調査官はチェックもしないし、万一何か言われたらきちんと事実関係を説明すれば納得します。
加えて、適当に書いたとしても、税務上は特に問題にならないという感覚が身についています。
しかし、このような国税OBの感覚が通用しない書類があります。
それは、国外財産調書・財産債務調書です。
これらの調書には、国外財産や所有している財産を記載して申告しなければならないとされています。
仮に、これらの書類の記載が不十分な場合には、税務調査のペナルティーである加算税が上乗せされるとされています。
例えば、国外財産である不動産の賃料について、その不動産について調書に記載していない場合は当然これに当たります。
加えて、その不動産について記載することとなっている、「種類、数量、用途、所在、価額および所在そのほか必要な事項」の記載が不十分な場合にも加算税は上乗せされることになります。
きちんと記載してもらうために、このようなペナルティーが課されるとされています。
この点適当に記載しても基本問題にならない内訳書とは異なり、これらの調書は極力正確に作成しなければならないのです。
実際、最近の事例で、
①物件の種類欄や用途欄の記載誤り
②所在地や床面積の誤りや記載漏れ
③譲渡株式等の株式につき、種類が株式と書かれていない
といった細かい点を取り上げて、調書の記載が不十分とされた事例があります。
適当に税務書類を作っている国税OBにとっては非常に怖い判断であり、再度処理を見直さなければなりません。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。









