消費税仕入税額控除の帳簿保存裁判の行方、税理士業務複雑化で税賠保険加入義務化へ?など3件:元国税調査官・税法研究者 松嶋洋が語る 税法解釈と税務調査の真実

元国税調査官・税法研究者 松嶋洋が語る_税法解釈と税務調査の真実

このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。

今回は9月26日、10月3日、10日のコメント「消費税仕入税額控除の帳簿保存裁判の行方」「実質負担者が親の生命保険料の贈与に関する取扱い」「税理士業務複雑化で税賠保険加入義務化へ」の3件をご紹介します。

消費税仕入税額控除の帳簿保存裁判の行方

消費税の仕入税額控除の適用を受ける場合、帳簿の保存が必要と考えるのが一般的かと思いますが、帳簿保存の必要性を巡って訴訟が提起されているようです。

T&Amaster(2020年9月21日号・No.850)によると、納税者が、付加価値税において仕入税額控除の否認は許されないと主張してきたものの、高裁までは斥けられていると伝えられています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、「消費税の正確な転嫁のためには資料の保存と正確な記録が必要であり、最高裁でも救済されず38億円の仕入税額控除が否認されることになれば、税賠訴訟で最高額が更新されるかもしれない」とコメントしています。

消費税制度の解釈がどうなるのか、税賠訴訟の最高賠償額が更新されるのか、裁判の行く末に目が離せません。

実質負担者が親の生命保険料の贈与に関する取扱い

親が子どもの保険料を肩代わりすることは一般的に行われていると思いますが、生命保険料の贈与申告について、明確に指針が示されました。

国税速報令和2年9月21日(第6625号)では、贈与契約書等が事実に基づかず仮装されたときは当然に贈与事実の認定資料として採用されず、また、毎年の贈与額が基礎控除額以下のものは贈与税の申告書の提出を要しないと記されています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、「贈与税の申告書を重視した判例があるので出しておけば無難と言うが、内規では不要とされているようだ」とコメントしています。

贈与金額が基礎控除額を超える場合は申告をして、基礎控除額以下の場合は申告は不要ということで、分かりやすい結論です。

税理士業務複雑化で税賠保険加入義務化へ?

日本経済新聞の記事によると、2013年と2018年の5年間で、税理士職業賠償責任保険(税賠保険)の支払件数が2倍に増加しており、支払額も2.4倍に膨らんでいます。税制が複雑化していることを背景に、税理士が顧客から訴えられるケースが頻発しているということです。

これに関して、2020年9月25日号付けの税のしるべによると、日本税理士会連合会が昨年4月に取りまとめた「次期税理士法改正に関する答申」に税賠保険への加入義務化が盛り込まれており、年々複雑化する税理士業務の深刻さを物語っていると伝えられています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、「猶予制度のようにケアレスミスですべてが吹っ飛ぶクレージーな制度もあるので、税賠保険の加入義務はもちろんのこと、税理士法人の有限責任化も必要だ」とコメントしています。

専門家として研鑽は欠かせませんが、税務業務におけるリスクは年々高まっており、これだけ税賠保険の支払件数が増えている事実を鑑みると、制度改革は必要なのかもしれません。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋

元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。

現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。

著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。

<参考サイト>

<著書>

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧

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