中古資産のリースの節税は使えない:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

令和4年度改正においては、主要な節税商品であったドローンリースなどを封じ込める改正がなされました。

具体的には、一括又は3年で経費とできる少額の減価償却資産の特例について、貸付けの用に供する減価償却資産については、原則として対象としないこととされました。

このため、今までは買ったタイミングで全額経費として節税をしてきたドローンリースについては、今後は買った値段に関係なく原則として耐用年数(5年)で経費とする必要があります。

こういう訳で、今後は節税がますます難しくなる訳ですが、早くも新しい節税商品が提案されています。

それは、中古資産を活用したもので、中古資産をリースするというスキームです。

中古のベンツを購入すると節税になると言われます通り、中古資産は、今まで使用した年数を考慮するなどして、相当短い年数で経費にできます。

すなわち、先の少額の減価償却資産に変えて、中古資産をリースして節税するというスキームです。

このようなスキームが合法か質問を受けますが、結論から申し上げますと合法とは言えません。

と言いますのも、中古資産の耐用年数は、本来は合理的に見積もられる使用可能期間とされているからです。

この使用可能期間は通常は分からないので、特例的な計算方法で耐用年数を算定しています。

この年数は非常に短く計算されるため、短期間で経費にできる訳です。

しかし、使用可能期間を合理的に算定できるのであれば、その使用可能期間を耐用年数とし、特例的な計算方法を使うことはできないと法令に明記されています。

節税商品となるリースについては、投資の回収期間も考慮しますので、予めリース期間を決めた上でリースすることが通例です。

となると、中古資産をリースする場合、そのリース期間中は確実に使用ができることになりますから、リース期間を使用可能期間と解釈するのが妥当と考えられます。

そうなると、特例的に短い期間で経費にはできません。そもそも論ですが、リースが節税になるのは、リース料収入がリース期間中に数年に分けて入金されるのに、経費はそれよりはるかに短い期間で計上されることにあります。

このため、リース期間と耐用年数が一致すれば、そもそも節税商品とは言えません。

それにとどまらず、そのスキームの提案書を見ると、滑稽なことが書いてありました。「中古と言いつつ、新品であるかのように修繕をしている」という点です。

「中古なら借手が付かないため投資するのは難しい」と投資家が判断しないように、わざわざ書いたのでしょうが、「新品」のような中古資産であれば、新品が使える期間で経費にするのが妥当、といった判断がなされる可能性があります。

この期間はまさに法律で決まった耐用年数ですので、中古資産の使用可能期間よりも長くなる可能性もあります。

いずれにせよ、このようなスキームに対しては、慎重な対応が必要なことは間違いありません。

追伸、

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元: 中古資産のリースの節税は使えない– セブンセンスグループ – 経営・会計コンサルティング

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