郵送提出とみなし規定:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

税務署に対して郵送で申告書を提出する場合、税務署に申告書の現物が実際に到着した日ではなく、税務署に対して発送した日に提出があったとされます。

このため、多忙な会計事務所の実務上、申告書を申告期限ギリギリに作成し、その日のうちに郵便ポストに投函して郵送して期限内提出とする、といったことはよく行われています。
申告期限に1日でも遅れてしまえば、無申告加算税などのペナルティが発生しますので、期限内申告に当たるかどうか、実務上非常に重要です。とりわけ、郵送提出については、郵便局の窓口で提出した場合は別にして、ポストに投函する場合には、それは証拠に残るものではありません。

このため、郵送提出の申告書について申告期限後とされた納税者が、「申告期限内にポストに投函した」と反論して、裁判等で争われることがあります。

しかし、ポストに投函したタイミングは法律上問題にならないとされています。
なぜなら、原則として郵便局が封筒に押す「通信日付印」の日付を提出日とみなすと規定されているからです。
通信日付印は郵便物を受け付けた証拠として、郵便局が郵便を引き受けた日に封筒に押されます。
郵便局の窓口受付であれば、受け付けたタイミングで押されます。

一方で、郵便ポストに投函した場合、郵便局が回収するタイミングによっては、困ったことに実際に投函した日付と通信日付印の日付がズレる場合があるようです。

法律はこのような事態があることを踏まえ、通信日付印の日付を提出日と「みなす」としています。

「みなす」というのは法律用語で、絶対的にその通りとする、ということを意味します。
このため、例えばポストに投函するシーンを動画撮影して申告期限の末日に投函したことを証明したとしても意味はありません。
あくまでも、通信日付印の日付が投函日の翌日となっていれば、その翌日に税務署に提出したことになり、期限後申告として取り扱われます。

しかし、「みなす」と言いつつ、この取扱いにも実は例外があります。
それは、通信日付印の日付が不鮮明の場合です。
通信日付印が不鮮明であれば提出日を特定できませんので、この場合には税務署に到着するスパンから逆算して決めるとされています。

例えば、距離的に翌日には税務署に郵送されると見積もられるのであれば、提出日は到着日の前日とされます。

このため、仮に郵送提出した申告書について申告期限を過ぎていると国税から指摘された場合には、封筒に押された通信日付印の日付が不鮮明か否かについても担当者に確認すべきです。

実務上、封筒まで保存することは多くないため、税務署としてもその日付が鮮明であることを現物の封筒を提示して示すことは難しいです。
そうなると、通信日付印が不鮮明であった可能性も否定できないとして、交渉する余地が生じることになります。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:郵送提出とみなし規定– 経営・会計コンサルティング

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