居住用賃貸建物の基準は厳しすぎる:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

令和2年度改正において、居住用賃貸建物の仕入れに対して課税された消費税については、原則として消費税の還付対象から除かれることとなりました。

居住用賃貸建物とは、一般には賃貸する居住用マンションなどを意味します。

しかし、法律の定義としては、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物」を意味するとされています。

注意したいのは、住宅の貸付けに使う建物ではなく、住宅の貸付けに「使わないことが明らかな建物以外」ということです。

すなわち、客観的に見て、住宅の貸付けに使うことがないと判断される建物を意味します。

このように規定されていますので、実務では「住宅の貸付けに使う可能性がある」建物の取扱いが問題になります。

例えば、転売する目的で居住用マンションを購入したとします。

転売目的ですから住宅の貸付けに使うことはないはずですが、居住用マンションである以上、建物の構造などは住居として使えるものになっています。

となれば、居住用として貸し付ける可能性は零とは言えない訳で、建前としてはこのようなものも居住用賃貸建物に当たるはずです。

結果、それを仕入れたタイミングでは原則消費税の控除をしてはいけないことになるはずです。

その一方で、税務当局や専門家の解説などを見ると、ここまで厳格に解釈する必要はないようにも読めます。

国税庁のホームページに、賃料が無料の社宅の取扱いが説明されています。

賃料を取らないこと取得時点で客観的に明らかである場合、具体的には社宅の利用規約等で判断される模様です。

結果、このような社宅については、その建物は居住用賃貸建物に当たらないと解説されています。

しかし、規約などはいつでも改正できますし、社宅である以上構造は居住用ですから、用途を変えて居住用賃貸することは容易に可能です。

そうなると、将来にわたり「住宅の貸付けに使わないことが明らかな建物」とは言えないように考えます。

同様に、民泊用の物件についても問題になります。

民泊は住居そのものですので、ホテルのように貸すことを予定していたとしても、住宅として賃貸する用途に転用することも、いつでもできます。

このため、民泊用の物件を購入しても居住用賃貸建物として消費税の還付は原則としてできないはずです。

しかし、とある専門家の解説では、旅館業法の許可を取るものなどは、居住用賃貸建物にならないと考えるべきとされています。

この理由は、民泊許可がある場合などは、利用日数の制限がないから、ということのようです。

しかし、この場合にも居住用賃貸もできるはずで、個人的には疑問があります。

何より、「住宅の貸付けに使わないことが明らか」という判断は、税務当局が行うものです。

このため、構造などわずかでも居住用と判断できれば、居住用賃貸建物に当たると判断される恐れがあります。

居住用賃貸建物に該当するとなると不利益が大きすぎますので、判断基準を緩めるなど、法改正も必要と考えます。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

押せば意外に 税務署なんて怖くない

引用元:居住用賃貸建物の基準は厳しすぎる– 経営・会計コンサルティング

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