
令和7年度改正において、リース取引の処理について、かなり大きな税制改正が実現しています。
民法上、賃貸借とされるリース取引のうち、ファイナンスリースについては、実態が分割払いで固定資産を購入したものと変わらないといわれています。
この点を踏まえ、税制も会計も、ファイナンスリースについては、借主は固定資産の購入とし、貸主は資産の譲渡とする、「売買処理」を行うことになっています。
一方で、ファイナンスリース以外のリースについては、民法と同様の賃貸借と考え、「賃貸借処理」で処理するとされていました。
近年、会計基準が改正され、企業会計においては、ファイナンスリースか否かを問わず、リースについては一律、売買処理を行うこととされました。
税制と会計の処理が一致しないのは望ましくないとされていますので、この会計基準の改正を受けて、令和7年度改正においては、「原則として」会計基準の処理に税制も合わせることとされました。
「原則として」と書きましたが、会計基準とは異なり、税制は借主の処理については、従来の取扱いを大きく変えてはいません。
このため、ファイナンスリース以外のリースであれば、従来通り、税務上は売買処理する必要がないとされています。
結果として、会計と税務で処理が異なりますが、納税者の利便を踏まえたと説明されています。
といいますのも、売買処理は複雑であるため、ファイナンスリース以外のリースであれば、簡単な賃貸借としての処理を認める、といった判断がなされた模様です。
その一方で、貸主の消費税については、処理が大きく変わります。消費税において、貸主の処理には、借主のような配慮が見られないからです。
具体的には、従来は賃貸借処理ができた、ファイナンスリースの収益に対する消費税についても、売買処理で消費税の売上を計上する必要があります。
賃貸借であれば、支払期日ごとに月額単位の賃料の消費税を計上すればいいです。
一方で、売買処理となると、リース資産を引き渡したタイミングで賃料全額を一度に消費税の売上として計上しなければなりません。
こうなると現金収入は将来なのに、ファイナンスリースの場合にはリース契約を行った時点で一度に消費税が課される訳で、貸主の資金繰りに大きな悪影響を及ぼすことになります。
リースは5年など長期に渡ることが多いため、資金繰りに与える影響は非常に大きいと思われます。
この点を踏まえ、従来のファイナンスリースには、現金収入に合わせる形での消費税の課税売上の繰り延べが認められていました。
しかし、会計基準でこのような処理が認められていないからか、令和7年度改正ではこの特例が廃止されました。
すなわち、貸主はファイナンスリース取引の消費税について、資金繰り上大きな悪影響が発生することになる訳です。
本来、この点についても財務省は考慮しなければならなかったはずですが、貸主に比して圧倒的に多数の借主にのみ配慮した制度となっており、その不利益が今後大きな問題になると思われます。
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?
元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋
昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。










