フリーレント期間にも収益を按分する必要があるのか?:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

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本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

税務上、フリーレント期間がある不動産の賃貸借の処理について、問題になることがあります。

フリーレントは集客等のために、一定期間賃料を無料にする処理です。

しかし、その無料期間についても、貸している以上は収益計上が必要、といった指摘が見られます。

フリーレント期間を設ける場合、フリーレント期間終了後一定の期間は契約解除できない賃貸借期間とされることがあります。

若しくは。解約できるにしてもその一定の期間に相当する高額な違約金が発生することもあります。

このような解約が形式的ないし実質的にできない点を踏まえて、このような指摘がなされています。

フリーレントは、貸主が自己の利益を削ってタダで貸すものです。

このため、この期間が終了した後一定の期間は、中途解約が実質的にできないようにして、必要な利益を確保できるようにしている訳です。

実質的に解約ができない賃貸借期間があるのであれば、その期間にもらう賃料総額は確定していると判断できます。

このため、その期間の賃料総額について、フリーレント期間も含めたすべての賃貸借期間に応じて按分して収益計上すべきとされている訳です。

しかし、フリーレント期間は貸主にとっては賃料を1円ももらえない期間です。

このため、その期間に先立って収益を計上して税金を納める、というのはかなり違和感があります。

この点、税務上、収益はそれを貰える権利が確定したタイミングで計上するべきという「権利確定基準」という考え方があります。

これを前提とすれば、強いてフリーレント期間に収益を計上する必要はないように考えます。

しかし、現状としては、実質的に中途解約できない期間がある契約であれば、原則そのフリーレント期間も収益を計上すべきとされています。

この点、賃料を支払う側の処理としては、フリーレント期間に支払う賃料は零円のため、実質的に中途解約できない契約であっても、その期間の賃料は経費にならない、とした国税不服審判所の裁決事例があります。

この事例はフリーレントについて判断された唯一の事例ですが、もらう側と支払う側で処理が異なることになるため、違和感があります。

審判所の判断の背景には、その年度中に支払う義務が確定した費用のみが経費になるという、「債務確定基準」という考えがあります。

権利と義務は表裏一体ですので、借主で債務が確定していないなら、貸主の権利も確定していない、というのがスマートでしょう。

このため、貸主と借主の処理が一致するよう、税務当局は公的な見解を早期に示すべきと考えます。

とはいえ、現状の処理としては、貸主の受取賃料についてはフリーレント期間も収益に計上し、借主のフリーレント期間の賃料については経費として計上しない。

このような、齟齬がある処理とせざるを得ないように考えられます。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

押せば意外に 税務署なんて怖くない

引用元:フリーレント期間にも収益を按分する必要がある のか?– 経営・会計コンサルティング

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