給与外注とフリーランス新法:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

税務調査で問題になる給与と外注費につき、損害保険の営業マンが受ける報酬がどちらに該当するか、審判所で争われた事例が最近ありました。

この営業マンは、自分が会社から受ける報酬について、消費税が課税されない給与に当たると主張しました。

給与となる理由として、この営業マンが主張したのは大きく二点です。

一つは、自己が所属している損害保険会社の営業職員の就業規則において、営業職員は所属上長の指揮命令に従う義務がある旨が定められていたことです。

もう一つは営業で使うパンフレット等について、会社から無償で提供を受けていたことです。

就業規則は将に従業員に対しても受けられるものですし、会社の営業職の社員は名刺やパンフレットといった販促ツールもタダで支給されますので、そうなると、確かに給与に近いように見えます。

しかし、審判所はこれらの主張を認めませんでした。

なぜなら、就業規則に指揮命令について従うとあるにもかかわらず、実態としては独立して動いており、この営業マンは会社に報告も入れていなかったからです。

加えて、パンフレットなどの販促ツールは支給されていたものの、ビジネスマンにとって必須で、販促ツールよりはるかに高額なパソコンについては、自己で購入していた模様です。

それに止まらず、更にこの営業マンは事務員を雇っていたようです。

サラリーマンが事務員を雇うなどということはまずないはずで、独立した事業主だからこそ事務員も雇うでしょう。

こうなるとやはり外注費とするのが妥当と解されます。

この事例でも指摘されるように、給与と外注費の区分が問題になる場合、就業規則などの形式よりも、むしろ実態が重要になります。

このため、外注費と主張するためには、契約書などの形式的な証拠を作るよりもまずは実態、と指導してきました。

しかし、近年はまた事情が変わってきました。

なぜなら、フリーランス新法が2024年11月から施行されたからです。

この法律により、一定のフリーランスに外注する場合は、書面で業務内容や報酬、そして支払期日などを明確にする必要があるとされました。

結果として、問題となる者への支払いを外注費と主張するためには、最低限フリーランス新法に則った処理をしておくべき、とされる可能性が大きいと考えられます。

しかし、これは大きな手間ですから、十分に対応できない会社もあるでしょう。

となると、税務調査で「フリーランス新法に対応していない点からも、この支払は給与に近い」といった指摘をうけることが増える可能性があります。

すなわち、今後の給与外注の対策としては、フリーランス新法の要件を満たす煩雑な書面を交付するなどして、形式面も固める必要があると思われます。

もちろん、当然ながら実態も整えておく必要があると考えられます。

従来以上に対策が大変になっていますので、今まで以上に慎重な処理に心がける必要があります。

追伸、
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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

押せば意外に 税務署なんて怖くない

引用元:給与外注とフリーランス新法– 経営・会計コンサルティング

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