「前回調査で許された」 を言ってはいけない理由:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

現在、インターネットには数多くの税務調査対策ノウハウが掲載されています。

そのうち、注目を集めるコンテンツのひとつとして、「税務調査で言ってはいけないフレーズ」 というものがあります。

そのフレーズの中で、必ず挙げられる禁句の一つに、「前回調査で許された」 というものがあります。

ある税務処理について、前回の調査で指摘を受けなかったり、内容を調査官に見られたのに特に問題点を指摘されなかったりした場合、調査を受けた納税者としては処理が認められたと思うものです。

しかし、前回の調査とは違う年分の税務調査で、同じ処理をしているのに問題視されることがあります。

この場合 「前回調査で許された (ので今回も問題ない)」 と、言ってはいけないと解説されています。

その理由として、多くの税理士が解説するのは、つぎの2点です。

①前回調査で指摘がなかったといっても、それは税務署が必ずしも認めたものではないため、このような抗議するのは筋が通っていないこと

②前回の調査の話を持ち出すと、問題ないとされた過去の年度まで遡って是正される可能性があること

これらの指摘は調査官の立場からすれば、よく分かる話です。1~2日で行う税務調査では、調査先の全部をチェックできる訳がありません。

実際、今回の税務調査で特別な指摘をしていないとしても、納税者の税務処理のすべてを認めた訳ではない、と現職時代はよく説明していました。

しかし、私の現職時代とは異なり、現在は会社に臨場しての実地調査をした場合、再調査の制限があります。

再調査の制限により 「新たに得られた情報」 がなければ、いったん調査した年度について税務調査はできないとされています。

「新たに得られた情報」 に当たるかどうか、調査官と争いになることもあります。

しかし、このような仕組みがある以上、税務当局としても、一旦調査した年度について、再度調査することはかなり困難です。

加えて、たとえ以前の税務調査で全部見切れていなかったとしても、そのタイミングで指導をしていれば、必要以上の税金が発生しなかったことも事実です。

現職時代の調査事例ですが、役員賞与の経費の否認という、誰にでも分かる納税者のミスを放置した前回調査がありました。

その際、調査先は前回調査の不手際について非常に怒りましたが、調査官である私はもちろん、上司である統括官も真摯に謝って課税しました。

法律論は別にして、課税はするものの、よほど横柄な調査官でない限りは、前回調査の指導が行き届いていない場合には、税務署の不手際でもあるとして真摯に謝罪します。

このため 「“前回調査で許された” から課税するな」 という主張は無効です。

しかし、
「“前回調査で許された” のに酷い」 とクレームを言うのは有効です。
このクレームにより、今回の税務調査で税務署が気を遣ってもらえば都合がいいので、この点も主張すべきでしょう。

追伸、
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Twitter:@yo_mazs

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

押せば意外に 税務署なんて怖くない

引用元:「前回調査で許された」 を言ってはいけない理由– 経営・会計コンサルティング

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