図々しい要請とその対応策:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る_税務署の実態と税務対策ノウハウ

以前受講した税務調査のセミナーで紹介されたあり得ない話。

税務調査の事前通知の際、調査官から、

  • (税務調査で調査官が使うための)パソコンを用意してください。
  • (調査官が調査中に上着を脱ぐため)ロッカーのようなものを用意して下さい。

などと言われることがあるようです。

国税の権限は、 事業に関する帳簿書類等をチェックしたり、提示を受けたりすること だけですから、調査官のためにパソコンやロッカーなどを用意する必要など全くありません。

このようなことを言いだす調査官が存在するとすれば、 自己の権限を理解していない、越権行為以外の何でもないと考えられます。

何より、私が以前立ち会った税務調査では、 調査官は自分のパソコンを持参していたため、国税の実務上、税務署からパソコンの持ち出しができないということもないはずです。

しかし、近年は申告書を持ち出せないこともあって、従来以上に調査がしづらくなった調査官から、このような図々しい要請を受けることも多くあると考えられます。

必要以上の協力をしない、これが税務調査対策の鉄則ですから、このような図々しい要請は明確に拒否する必要があります。

加えて、国税内部ではしっかりと指導をしてほしいと思います。
なお、私の現職時代には、納税者に必要以上の負担をかけないよう、十分に注意されていました。

ところで、図々しい指導というと、私の現職時代から多くの調査官がやっていたことですが、税務調査を早く終わらせますという名目で、調査法人の経理担当者や税理士に、調査法人の取引先の名簿を作らせることがあります。

もちろん、調査官としては早く終わらせようなどとは思っておらず、 いちいち取引先を手書きでメモすることは面倒くさい調査法人の担当者にこのような名簿を作らせることで、自分たちの税務調査に口出しさせる時間を奪うこのことを目的にしています。

今考えると、このようなメモを納税者に作らせる権限は調査官には全くなく、納税者には作るメリットも全くないので、あなたが作りなさい。住所などは聞かれれば答えますから! と断固拒否するべきことでしょう。

国税から図々しい指導がなされる背景としては、税務調査は調査官が密室で行うものですから、国税の上層部が目の届かない
調査官が自分の立場を悪い意味で誤解してしまう
この2つがあります。

税務調査に行けば、税務調査に苦手意識を持つ、納税者からお茶を出されて恭しい態度で対応されることが多いですから、多少納税者に無理を言っても通る、と調査官は思う傾向があります。

もちろん、このような要請を断固拒否すれば、調査官も原則としてゴリ押ししませんので、拒否すればいいだけの話です。

本来、このあたりの拒否については、 税の専門家である税理士が代理人として当然に行うべきことです。
しかし、国税に睨まれると痛い目に合う、と誤解する税理士も多いですから、調査官の図々しい指導を過ごしてしまい、不利益を生じさせてしまうこともよくあるのです。

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著者

元国税調査官・税理士・松嶋洋


元国税調査官・税理士 松嶋 洋

平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。

現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。

著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。

<参考サイト>

<著書>

※このコーナーでは元国税調査官・税理士 松嶋洋が税理士法人東京税経センターのメルマガに掲載したコンテンツを編集・再掲したものをお届けしています。今回は、第二百十回目のメルマガ、テーマは「図々しい要請とその対応策」です。
引用元: 図々しい要請とその対応策| 税理士法人 東京税経センター

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