税理士ってどんなところに転職できるの?税理士の年収やキャリア・転職可能性まとめ

税理士の5つの転職先

税理士は会計事務所以外でも活躍することができます。税理士の転職先にはどのような進路があるのでしょうか?ここではその進路を5つに分けて解説します。

主な進路は以下の5つです。

ひと言に「税理士」と言っても、このそれぞれで身に付く経験や将来の転職可能性、年収などが異なってきます。

  1. 会計事務所・税理士事務所
  2. 一般事業会社(一般企業)の経理部門
  3. 金融機関(バックオフィス)
  4. 金融機関(金融専門職・フロント)
  5. コンサルティングファーム

1:会計事務所・税理士事務所

会計事務所・税理士事務所での税理士のキャリア

税理士の最もスタンダードな進路は会計事務所です。会計事務所では税務相談や税務申告書の作成、決算指導など、クライアントの税務・会計支援に従事します。会計事務所は全国どの地域にもあり、税理士にとって一般的なキャリアであり資格も最大限に評価されるますので、会計事務所で経験を積むことによって、会計事務所業界で長期的に活躍していくことができます。

また、会計事務所にも様々な得意分野や強みを持つ会計事務所がありますので、厳密には会計事務所での経験と言っても、どういった会計事務所で働いたかによって税理士のキャリアにも特徴が出ます。

【会計事務所における税理士の主なキャリア】

  • 法人税務・・・法人税務は会計事務所ではスタンダードなキャリアです。法人税務の中でも「未上場企業」「上場企業」「外資系企業」などどの企業をターゲットにするかで専門性は異なってきます。また、税務だけに限らず、資金調達や資金繰りなどの支援を行う財務コンサルティングや管理会計や決算業務の効率化などを支援する会計コンサルティングなどのキャリアもあります。
  • 資産税・相続税・・・相続などの資産税を専門に積むキャリアです。相続税の申告、対策などを専門とするキャリア、もしくは、企業オーナーに対する事業承継コンサルティングなどのキャリアがあります。
  • 特定の業種専門・・・税理士の中には特定の業種を専門にキャリアを積むケースもあります。医療・病院や飲食など特定の分野を専門にすることで専門性を高めるキャリアです。
  • 税務コンサルティング・・・事業承継・組織再編・企業再生・国際税務など特殊または高度な税務を専門にコンサルティングを行うキャリアです。

会計事務所・税理士事務所での税理士の年収

会計事務所での税理士の年収は勤務する異なりますが、500~1,000万円程度であることが一般的です。全国的には500~600万円程度がボリュームゾーンであり、BIG4税理士法人など大手税理士法人に勤務している場合、年収1,000万円やそれ以上の税理士もいます。

2:一般事業会社の経理部門

一般事業会社(一般企業)の経理部門での税理士のキャリア

税理士には一般事業会社の経理部門で働くという選択肢もあります。これは、大手企業であれば税務部門で税務専門の仕事に就く場合もありますし、 中小企業やベンチャー企業では、税務にかぎらず、経理、財務など幅広い業務に従事するケースもあります。また、CFOや経理部長のような要職で活躍するケースもあります。

事業会社の税理士のキャリアは「企業の属性」「会計基準」「経験した仕事内容」「役職」などによって異なってきます。

【事業会社の税理士のキャリアに影響を与える要素】

  • 企業の属性・・・未上場企業、上場企業、上場企業の関連会社やグループ会社、外資系企業、業種など
  • 会計基準・・・税法(日本基準)、米国会計基準、IFRS(国際財務報告基準)、会社法(大会社)、金商法など
  • 仕事内容・・・経理、財務、管理会計、開示、経理、総務労務など管理業務全般など
  • 役職・・・非管理職(スタッフ)、管理職(課長、部長、管理部長)、役員(取締役・CFO)など

一般事業会社の経理部門での税理士の年収

一般事業会社の経理部門などに勤める税理士の年収は企業によって様々ですが、基本的には一般的なサラリーマンの年収と同等であり、500~600万円を基本とし、年収水準が高い企業(総合商社や大手金融機関、外資系企業など)であれば年収1,000万円を超えてきます。基本的には、未上場企業→上場企業・外資系企業→大手上場企業・外資系企業・金融機関の順で高くなっていきます。

3:金融機関(バックオフィス)

金融機関(バックオフィス)での税理士のキャリア

税理士資格は金融機関で評価されるケースもあります。金融機関のバックオフィスでは経理や税務においても一般事業会社とは異なった専門性が求められます。

金融業界の会計・税務業務は特殊であるため、他の業界に転職しにくくなるデメリットはありますが、複雑な会計・税務処理も多いため税理士のようなプロフェッショナルが評価されやすい傾向があります。また、金融業界は年収水準が高いため、高年収を実現しやすい傾向があります。

金融機関でのバックオフィス業務に関しては、金融機関自体の経理や税務業務もありますが、リース会社やファンド、アセットマネジメント会社でのSPC(特別目的会社)の経理・税務業務であったり、近年ではREITの決算・開示業務などに従事するケースもあります。

【税理士が活躍できる金融機関(バックオフィス)】

  • 銀行(都市銀行、地方銀行)、信用金庫
  • 証券会社(中小~大手、外資など)
  • リース会社
  • ファンド、アセットマネジメント会社
  • SPC・REIT など

金融機関(バックオフィス)での税理士の年収

金融機関(バックオフィス)に勤務する税理士の年収は会計事務所や一般事業会社に勤務する税理士よりも高い傾向にあります。基本的には金融機関の年収水準が高いため、一般事業会社や会計事務所に勤務するよりも年収が高くなっているのですが、メガバンクや大手証券会社の場合、バックオフィスでも30代で1,000万円以上となることもあります。地方銀行や大手ではない金融機関では年収は下がりますが、年収600万円以上の実現も可能です。

4:金融機関(金融専門職・フロント)

金融機関(金融専門職・フロント)での税理士のキャリア

金融機関には金融専門職やフロント職というものがあり、そこでも税理士資格が評価されるケースがあります。具体的には、法人向けに事業承継や組織再編のコンサルティングを行うケース、個人の富裕層向けにプライベートバンキングなど資産管理コンサルティングを行うケース、M&Aのアドバイザリーを行う投資銀行業務(インベストメント・バンキング)などがあります。 

【税理士が活躍できる金融機関のフロント職】

  • 法人向けコンサルティング(組織再編、事業承継など)
  • 投資銀行(M&Aなどファイナンスや資金調達アドバイザリー)
  • プライベートバンキング(富裕層向け資産運用コンサルティング)

こういった職種では、会計事務所と異なり、税務申告書や税務意見書の作成などは行いませんが、コンサルティング業務の中で税務に関する知識(例えば、投資銀行や法人向けコンサルティングであれば組織再編税制などの高度な法人税務、プライベートバンキングであれば資産税など)を活用します。また、金融機関のクライアントは会計事務所と異なり大企業も多いため、コンサルティング業務も高度なものになる傾向があります。そのため、高度なノウハウを学べたり、金融機関内やクライアントとの人脈も形成できるため、独立に有利になるケースもあります。

金融機関(金融専門職・フロント)での税理士の年収

金融機関の金融専門職やフロント職の年収は職種にもよりますが、全体的に高い傾向があります。20代で600~800万円(場合によって1,000万円)、30代で1,000万円以上になることもあります。特に投資銀行業務やプライベートバンキングは成果に連動した報酬が支払われることも多く、年収数千万円を実現できるケースもあります。

5:コンサルティングファーム

コンサルティングファームでの税理士のキャリア

税理士資格はコンサルティングファームでも評価されるケースがあります。一般的には、会計や税務、財務系のコンサルティングファームで評価されます。(戦略コンサルや人事コンサルなど税務と関係の薄い分野では評価されにくい傾向があります。)

【税理士が活躍できるコンサルティングファーム】

  • 財務・会計系コンサルティング
  • 企業再生コンサルティング
  • 経営コンサルティング

コンサルティングファームでの税理士の年収

コンサルティングファームでの税理士の年収は主にその職位に連動する傾向があります。所属するファームにもよりますが、スタッフやシニアスタッフであれば年収500~800万円程度、マネージャー職以上になれば800万円以上という水準です。この年収はファームの規模が大きくなるほど高くなる傾向があり、大手ファームであればシニアスタッフでも年収800万円以上、マネージャー職で年収1,000万円以上になることもあります。

このように税理士には様々な転職可能性があります。ただし、すべての税理士が上記5つの進路にどれでも転職することができるわけではありません。年齢やそれまでの職歴、専門性などによってその転職可能性は異なってきます。もし、税理士として目指したいキャリアがある場合は、そういった点も意識して経験を積んでいくことが重要です。

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