「300万以下は雑所得」が意味すること:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

先日、大きな話題になった税務当局の所得税の通達に関するパブリックコメントがあります。
年間の収入金額が300万円以下である所得は、それが納税者のメインの所得でない場合、特に反証がない限り雑所得に該当する、という国税の見解が公表されました。

自分の行う商売について、その規模が大きいと認められる事業所得になるか、それとも規模が小さいサラリーマンの副業のようなもので雑所得になるか、所得税の実務上、往々にして問題になります。

しかし、今後は一義的には300万という基準で判断されることになるということで、大きなニュースになりました。

事業所得と雑所得の区分が問題になるのは、これらの所得の計算上赤字になった場合の取扱いが異なるからです。事業所得の赤字はその他の給与などの所得と相殺できますが、雑所得の赤字は相殺ができません。

このため、収入がほとんど上がっていない、規模的にどう見ても雑所得にしか見えないような赤字の副業を事業所得として申告することで、その赤字を給与所得などと相殺する所得税の申告が現状多く見られます。

もちろん、このような申告をすると税務調査で是正されることになりますが、事業所得と雑所得の区分について明確な線引きがなかったため、税務署にとってもその是正は非常に困難でした。

このため、税務調査の実務では納税者や税理士がゴネることで、事業所得と認めさせることが多くあります。加えて、所得税の申告件数は膨大ですから、このような申告をする納税者全員に税務調査をすることは、そもそも困難という現実もあります。

このような事情を踏まえ、税務署も何か明確な基準が必要、ということで、パブリックコメントでは収入金額300万という基準を打ち出したと思われます。

しかし、十分な税法の知識がなく、かつ税務署に忖度する裁判所の現実を踏まえれば、この基準が独り歩きし、300万という基準で万時判断される可能性があると考えられていました。

このような点を踏まえ、このパブリックコメントに対しては、その取扱いを批判する意見が国税庁に数千件も寄せられていました。
通常、国税庁のパブリックコメントに対しては、税が複雑であることもあって、意見募集するためのパブリックコメントでありながら、件数はほとんどありません。

加えて、意見の数が少ないこともあって、国税はパブリックコメントで寄せられた批判を無視することが通例です。しかし、このパブリックコメントは想定以上の批判があったため、上記の300万基準が撤回されることになりました。

具体的には、帳簿書類をつけているかどうか、で事業か雑を判断する方向性が示されています。
以下、ご参照ください。

300万基準よりも明確な基準ですが、その反面、税の考え方からすれば、非常に問題になる取扱いとなっています。

この点、また別の機会に解説いたします。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:「300万以下は雑所得」が意味すること|セブンセンスグループ

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