労務との対応関係と青色事業専従者給与:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

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本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

個人の所得税においては、予め税務署に届出をすることで、個人事業主が自分の事業にのみ専従する家族に対する給与を経費にできる特典があります。

これが青色事業専従者給与ですが、この給与については、税務上、適正額がいくらかが問題になります。

法人税の過大役員報酬などと同様に、その家族に対して支払う給与が高すぎる場合、青色事業専従者給与としての適正額と判断される金額を超える部分については、経費にならないとされています。

この適正額ですが、その家族の仕事内容を踏まえた上で、同業他社の支給額と比較をしたり、その個人事業主が雇っている家族従業員以外の従業員のうち、最高給を貰っている者の給与額と対比したりすることで決められると言われます。

これらの基準に加え、最近の事例においては、家族従業員が行う労働時間との対応関係も問題になるとされています。

この事例では、開業医である個人事業主が家族従業員である奥さんに支出した、年1,800万円の給与が高すぎると判断されています。

この奥さんの職務は、看護師長兼事務長であり、その肩書を踏まえればかなり高額な給与が認められるはずです。

しかし、裁判所は、その診療所においてはタイムカードなどの備え付けがなく、労働時間の管理がなされていないことを問題視しました。

なぜなら、その奥さんに割増賃金が支給されていたからです。

通常の給与にしても割増賃金にしても、当然に労働時間を管理して支給されるべきものです。

そのような管理がなされていない以上、奥さんに支払った給与の金額は適正のものとは言い難いため高額な部分がある、とされたのです。

先に、「過大役員報酬と同様に」、適正額を超える部分は経費性が認められないと申しました。

法人の役員の仕事は経営ですから、従業員のように労働時間と役員報酬の金額に対応関係はなくても何ら問題ありません。

このため、役員が全く法人のために働いていないような場合を除き、過大役員報酬の判断において労働時間が問われることは基本的にはありません。

しかし、青色事業専従者は法人の役員ではなく、あくまでも個人事業主の「使用人」という立場になる訳です。

結果として、労働時間との対応関係も問題になる訳で、過大役員報酬と同様に青色事業専従者給与の適正額を考えてはいけないのです。

それに加え、青色事業専従者給与を支給する家族従業員についても、タイムカードや日報などで労働時間や労務内容を他の従業員と同様に、管理しておく必要があると言えそうです。

その上で、これだけ働いているので給与は高額ではない、と税務調査において反論できるようにしておく必要があります。

従業員と言っても家族ですので、常識として労務管理などする必要はないはずですが、その給与を経費にする以上税務においてはこのような対策も重要になります。

追伸、

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:労務との対応関係と青色事業専従者給与– 経営・会計コンサルティング

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