「国税は怖くない」と思わなければ調査に勝てない:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る_税務署の実態と税務対策ノウハウ

先日、あるOB税理士のコラムを読んでいましたら、最近は「税務署は怖くない」というような題材での書籍が出ることもあり、国税が舐められているが、決して国税を舐めてはいけないと書かれていました。

税務署は怖くない、という題材の本は私くらいしか書きません。なお、この前この拙著は発行部数が1万部に達しました。

https://www.amazon.co.jp/dp/4761271914

何より、私はOB税理士に嫌われていますので、このOB税理士は私を非難する意図があると思います。

非難されているため申し上げるのではありませんが、「国税を舐めるくらいではないと、税務調査に勝てない」このことは押さえておくべきと考えます。

税務調査には、「黙示の承諾」というやっかいな仕組みが採用されています。
調査官は質問検査権に則って税務調査を行う訳ですが、質問検査権の対象になるのは「事業に関する」資料などであり、プライベートな資料は納税者が許可を与えなければ調査官は調査することはできません。

しかし、許可なく調査官がプライベートな資料を見ても、それについて納税者が「許可を与えていない」と抗議をしなければ、調査官がやることを黙認した、という意味で許可を与えたものとみなされることになります。
これが「黙示の承諾」であり結果として、抗議しなければ調査官のいいようにやられるというのが税務調査の真実なのです。

このため、国税の権限に抵触する調査に対しては抗議をきちんと行うべきと講義していますが、いくら言っても、納税者はもちろん、税理士も十分に抗議することができないのです。
国税に強い権限があるため怖いということでしょうが、それなら舐めるくらいでいるべきでしょう。

実際のところ、私は国税に対し、事あるごとにクレームを挙げていますが、このような態度でいても税務調査に非協力であると言われたこともありませんし、(今後は分かりませんが)税理士の品格(?)から問題があると指摘されたこともありません。

舐めるくらいで、とは申しましたが、その大前提として、

(1) 国税に明確な非がある場合に限りクレームを挙げる
(2) 不正計算は絶対に行わない
(3) 誰にも明らかな計算ミスがあれば修正する

というスタンスを私は持っています。

このようなスタンスでいれば、法律もろくに知らないし、勉強もしない国税組織を舐めているとは言え、何ら恥じることはありません。

その他、先のOB税理士のコラムには、「無予告で調査に来て、都合が悪いなどの理由で別の日時に変更し、当日帰る調査官は原則いません」といった話も書かれていました。

しかし、私の知る限り、以前勤めていた事務所の所長税理士を含めて、税理士が無予告調査を延期するように言えば、ゴネることはあっても調査官は帰りますし、帰らなければ法律違反になるのです。

このOB税理士の本音は、国税は怖いからOB税理士である自分に依頼しろということでしょうが、納税者をミスリーディングするのは如何なものかと考えてしまいます。

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著者

元国税調査官・税理士・松嶋洋


元国税調査官・税理士 松嶋 洋

平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。

現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。

著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。

<参考サイト>

<著書>

※このコーナーでは元国税調査官・税理士 松嶋洋が税理士法人東京税経センターのメルマガに掲載したコンテンツを編集・再掲したものをお届けしています。今回は、第二十一回目のメルマガ、テーマは「「国税は怖くない」と思わなければ調査に勝てない」です。
引用元: 「国税は怖くない」と思わなければ調査に勝てない| 税理士法人 東京税経センター

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