税理士試験は、税理士になるために合格しなければならない国家試験です。
「何科目受ければいいのか」「いつ申し込んで、いつ試験があるのか」「申し込みにいくらかかるのか」など、受験を検討し始めた段階で気になっている方は多いのではないでしょうか。
会計事務所名鑑では、税理士試験の合格者本人への取材や、会計事務所の求人情報の蓄積をもとに、試験の全体像を1本の記事にまとめました。
本記事では、試験の仕組みと年間スケジュール、申し込み方法から、合格後にどのようなキャリアが開けるのかまで、順番に解説します。これから受験を検討している方はもちろん、今年の申し込みや試験本番を控えている方にも、その都度必要な情報を見つけていただけるように構成しています。
税理士試験ガイドの要点
- 税理士試験は、会計2科目(簿記論・財務諸表論)+税法9科目のうち3科目、合計5科目に合格する国家試験で、1科目ずつ何年かけて合格してもよい「科目合格制」を採用しています(※税理士の資格取得(日本税理士会連合会))
- 例年、春に試験の公告があり、4月下旬〜5月上旬に申込を受け付け、8月上旬に3日間の試験、11月下旬に結果が公告されます。令和8年度(第76回)は4月20日〜5月8日が申込期間、8月4日〜6日が試験日でした。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
- 令和8年度から、WEB申請サイトでのオンライン申込ができるようになったほか、合格者・一部科目合格者を含む全受験者への得点通知が始まりました(※税理士試験の合格発表における得点通知の見直しについて(国税審議会))
- 税理士試験は「合格したらキャリアの何が変わるか」を先に知っておくと、受験するかどうかを判断する材料になります。
目次
- 税理士試験とは — 5科目に合格して税理士になる国家試験
- 受験を決める前に押さえておきたい3つのこと
- 税理士試験の1年間のスケジュール
- 受験の申し込み方法
- 試験当日の流れ
- 出題内容と過去問はどこで確認できるか
- 税理士試験はどのくらい難しいのか
- 合格までの学習の進め方
- 合格後のキャリア — 会計事務所でどう働けるか
- よくある質問(FAQ)
税理士試験とは — 5科目に合格して税理士になる国家試験
税理士試験は、税理士になろうとする人が合格しなければならない国家試験です。
国税審議会が実施し、試験科目は「会計学に属する科目」と「税法に属する科目」の2種類に分かれます。
会計2科目+税法3科目を、1科目ずつ積み上げられる
受験するのは、会計学に属する科目である簿記論・財務諸表論の2科目と、税法に属する科目のうち受験者が選ぶ3科目、合計5科目です。税法に属する科目を選ぶときは、所得税法または法人税法のいずれか1科目を必ず選ばなければなりません。合格基準は、各科目とも満点の60%です。(※税理士試験の概要(国税庁))
11科目それぞれの特徴や、どの科目から受けるとよいかは「税理士試験の科目一覧と選び方|おすすめの組み合わせを解説」で解説しています。
税理士試験の大きな特徴は、5科目を一度に受験し切る必要がない「科目合格制」を採用している点です。1科目ずつ受験でき、一度合格した科目は生涯有効なため、何年かけて5科目をそろえてもかまいません。(※税理士の資格取得(日本税理士会連合会))
誰が受けられるのか(令和5年度からの緩和)
税理士試験には受験資格があります。ただし、令和5年度(第73回)試験から受験資格が緩和され、会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)は学歴・年齢を問わず誰でも受験できるようになりました。
税法に属する科目は、
(1)学識による受験資格、
(2)資格による受験資格、
(3)職歴による受験資格
のいずれか一つを満たす必要があります。(※税理士試験の受験資格(国税庁))
それぞれの要件の具体的な内容や、税理士として登録するまでの流れは「税理士になるための条件と登録までの流れ」で詳しく解説しています。
受験を決める前に押さえておきたい3つのこと
税理士は、税務申告書の作成や税務相談など、企業や個人の税務を専門的に扱う仕事です。
試験に合格して税理士として登録すると、こうした業務を担う専門家として働くことになります。日々どのような業務を担当することになるのかは、「税理士の仕事内容と、資格取得までの道のり」で紹介しています。
5科目すべてをそろえるまでに、何年もかけて挑戦する人は少なくありません。実際にどのくらい難しい試験なのか、科目ごとの合格率がどう推移しているのかは、「税理士試験の難易度と合格率の推移【最新データ】」で詳しいデータを紹介しています。受験するかどうかを考えるうえで、まず目を通しておきたい数字です。
税理士試験に合格すると、キャリアの選択肢がどう変わるのかも、受験するかどうかを決めるうえで気になるところだと思います。
会計事務所での就職・転職の可能性や、事務所の種類による働き方の違いについては、本記事の「合格後のキャリア — 会計事務所でどう働けるか」で詳しく紹介しています。
税理士試験の1年間のスケジュール
税理士試験は毎年ほぼ同じサイクルで動きます。
実施年度の詳細な日程は例年春に官報で公告されるため、その年その年の細かい日付は毎年更新されますが、大まかな流れ自体は例年変わりません。ここでは基本の年間サイクルを説明したうえで、直近の実績として令和8年度(第76回、2026年)の実際の日程を紹介します。
公告 → 申込受付 → 8月の試験 → 11月下旬の結果公告
税理士試験は、例年、春に国税審議会から実施に関する公告が出ます。
4月下旬から5月上旬にかけて申込みを受け付け、8月上旬に3日間の試験が行われ、11月下旬に結果が公告される、という流れで実施されます。
令和8年度(第76回)を例にとると、申込受付期間は令和8年(2026年)4月20日(月)から同年5月8日(金)まででした。試験は同年8月4日(火)から6日(木)までの3日間で実施されています。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
次回である令和9年度(第77回)の詳しい日程は、例年どおりであれば2027年春の官報公告で確定する見込みで、確定次第、本記事も更新します。
試験は3日間、どの日にどの科目が行われるか
令和8年度(第76回)の3日間の時間割は次のとおりでした。
- 1日目(8月4日・火): 簿記論 9:00〜11:00 / 財務諸表論 12:30〜14:30 / 消費税法又は酒税法 15:30〜17:30
- 2日目(8月5日・水): 法人税法 9:00〜11:00 / 相続税法 12:00〜14:00 / 所得税法 15:00〜17:00
- 3日目(8月6日・木): 国税徴収法 9:00〜11:00 / 固定資産税 12:00〜14:00 / 住民税又は事業税 15:00〜17:00
1科目あたりの試験時間はいずれも2時間です。同じ日・同じ時間帯に実施される科目同士は同時に受験できません。
たとえば1日目の消費税法と酒税法、3日目の住民税と事業税は、それぞれ同じ時間帯に組まれており、同一年度に両方を受けることはできません(制度上も「消費税法又は酒税法」「住民税又は事業税」のいずれか一方を選ぶ形になっています)。
年度によって日程や組み合わせが変わる可能性があるため、実際に受験する年度の官報公告で最新の時間割を確認してください。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
結果が公告される日と、その確認方法
税理士試験の結果は、例年11月下旬に公告されます。
5科目すべてに合格した「官報合格者」は、受験地・受験番号が官報および国税庁ホームページに掲載されます。一部科目のみ合格した場合は、国税庁ホームページにのみ掲載されます。令和8年度(第76回)の合格発表は、令和8年(2026年)11月27日(金)に行われる予定です。(※税理士試験に関するよくある質問(国税庁))
最新の合格発表の結果については「令和7年度(2025年)税理士試験合格発表まとめ」で紹介しています。
受験の申し込み方法
税理士試験の申し込み方法には、オンライン(WEB申請)と書面(郵送)の2種類があります。
オンライン(WEB申請)で申し込む
令和8年度(第76回)試験から、国税庁の「税理士試験WEB申請オフィシャルサイト」で電子申請ができるようになりました。
従来、税理士試験に関する手続きの一部はe-Taxでも行えましたが、e-Taxによる税理士試験関係の手続きは令和8年(2026年)3月31日をもって終了しており、電子申請を利用する場合は専用のWEB申請オフィシャルサイトを使うことになります。(※税理士試験(国税庁))
書面(郵送)で申し込む
従来どおり、受験案内に添付されている申込書類一式を用意し、郵送で申し込む方法も引き続き利用できます。受付期間はオンライン・書面のいずれも共通です。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
受験手数料はいくらかかるか
受験手数料は、受験する科目数によって次のとおり定められています(令和8年度・第76回の金額)。
- 1科目: 4,000円
- 2科目: 5,500円
- 3科目: 7,000円
- 4科目: 8,500円
- 5科目: 10,000円
1科目だけ受験する場合と、5科目まとめて受験する場合とでは、1科目あたりの単価が異なる料金設定になっています。
たとえば1科目ずつ5回に分けて申し込むと合計20,000円になりますが、同じ年度に5科目まとめて申し込めば10,000円で済む計算になり、複数科目を同じ年度でまとめて受験するほど1科目あたりの負担は軽くなります。
金額は収入印紙で納付します。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
申し込みでつまずきやすいポイント
申込受付期間は例年ひと月に満たない短い期間で設定されるため、受験する科目や必要書類(受験資格を証明する書類など)の準備は早めに進めておくことをおすすめします。
とくに税法科目を(1)学識・(2)資格・(3)職歴のいずれかの区分で受験する場合、証明書類の取り寄せに時間がかかることがあります。受験資格の詳しい区分は「税理士になるための条件と登録までの流れ」で確認できます。
試験当日の流れ
試験当日は、受験する科目数に応じて1〜3日間、指定された会場に出向いて受験します。
試験が行われる場所
税理士試験は全国どこでも受けられるわけではなく、北海道・宮城県・埼玉県・東京都・石川県・愛知県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・熊本県・沖縄県の12都道府県を管轄する国税局等の単位で実施されます。
令和8年度(第76回)は、これまで実施されていた群馬県での実施がなくなりました。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
都道府県単位ではなく国税局等の管轄単位で実施されるため、居住地に試験地がない場合は、近隣の試験地の中から選んで申し込むことになります。
1科目あたりの試験時間と合格の基準
1科目あたりの試験時間は2時間で、合格基準は各科目とも満点の60%です。(※税理士試験の概要(国税庁))
実際の合格率がどう推移しているかは「税理士試験はどのくらい難しいのか」で紹介しています。
出題内容と過去問はどこで確認できるか
出題内容は科目ごとに定められた税法の範囲から出題されます。具体的にどのような問題が出題されたかは、国税庁ホームページの「税理士試験問題、答案用紙及び正誤表」ページで確認できます。
令和8年度(第76回)時点で、令和8年度から令和元年度(第69回)までの8年度分が全科目公開されており、平成30年度(第68回)以前の問題については、国税庁ページ内から国立国会図書館のインターネット資料収集保存事業(WARP)へのリンクをたどって確認できます。(※税理士試験問題、答案用紙及び正誤表(国税庁))
過去問には正誤表も添付されているため、出題後に判明した誤りや訂正も含めて確認できます。年度をまたいで複数年分の過去問に目を通しておくと、科目ごとの出題の傾向をつかみやすくなります。
税理士試験はどのくらい難しいのか
税理士試験の合格率は、令和7年度(第75回)で21.6%でした(受験者数は実人員で36,320人)。この数字は5科目に一度で合格した割合ではなく、1科目ずつ見た場合の合格しやすさを示す数字です。(※令和7年度(第75回)税理士試験結果(国税庁))
前述のとおり科目合格制のため、5科目すべてに合格する「官報合格」に至るまでには複数年かかる人が多いことも踏まえて捉える必要があります。
年度による合格率の振れ幅や、科目ごとの合格率の違い、公認会計士試験など他資格との比較まで詳しく知りたい方は「税理士試験の難易度と合格率の推移【最新データ】」で分析しています。
合格までの学習の進め方
税理士試験の合格までにどれくらいの学習量が必要か、多くの受験者が気になるところだと思います。ここでは、予備校各社が示している一般的な目安と、会計事務所名鑑が独自に集めた合格者本人の声の、両方を紹介します。
合格までにどれくらいの学習量が必要か
予備校各社が公表している学習時間の目安を見ると、科目によって幅があり、比較的負担の軽い科目でおおむね150時間程度、負担の重い科目では600時間程度が一つの目安とされています。
5科目合計では、選ぶ科目の組み合わせによって前後しますが、おおむね2,000〜2,500時間が一つの目安とされているようです。ただし、これらはあくまで予備校各社が独自に示している目安であり、国税庁や日本税理士会連合会が公式に学習時間の目安を公表しているわけではありません。
実際に必要な学習時間は、これまでの学習経験や1日にどれだけの時間を確保できるかによって大きく変わるため、上記の数字はあくまで一つの参考値として捉えるのがよいでしょう。
何年計画で考えるか
科目合格制を活かして、1年に1〜2科目ずつ、数年かけて5科目をそろえる受験者が少なくありません。
1年目に会計2科目(簿記論・財務諸表論)から着手し、2年目以降に税法科目を1科目ずつ積み上げていく、という進め方をする受験者も多いようです。
何年計画で進めるかは、次に説明する学習環境(働きながらか、学習に専念できるか)によっても変わります。科目ごとの具体的な勉強法や、科目別の学習計画の立て方は「合格者に聞く!税理士試験の勉強法 科目別まとめ」でまとめています。
働きながら受験する人が多い試験
税理士試験は、大学生や学習に専念する受験者だけでなく、会計事務所や一般企業で働きながら受験する社会人がとても多い試験です。
次の項で紹介する合格者インタビューでも、フルタイムで働きながら合格した方の声を複数取り上げています。仕事と学習の両立という点では他の多くの国家資格試験と共通する悩みですが、税理士試験の場合は科目合格制によって、働きながらでも1科目ずつ着実に合格を積み重ねていける設計になっている点が特徴です。
合格者24人の体験談からわかること
会計事務所名鑑では、これまでに24人の税理士試験合格者に、科目ごとの学習の進め方をインタビューし、42本の記事として公開してきました(1人の方が複数の科目について答えている場合があります)。24人の内訳を集計すると、学習環境は次のように分かれています(※自社調査:科目別勉強法(合格者インタビュー)24人・42本、2026年9月集計)。
- 「働きながら」学習していた時期がある方: 17人
- 学習に「専念」していた時期がある方: 10人
- 大学・大学院在学中に学習していた時期がある方: 8人
(※学習の途中で環境が変わった方が多く、1人が複数の区分に該当するため、内訳の合計は24を超えます。)
受験回数を明記している方は一部にとどまるため平均値は算出していませんが、実際に合格した方の言葉をいくつか紹介します。
「3度目の受験(正社員2年目)で合格しました。」(消費税法の合格者。消費税法 合格者インタビューを読む)
「大学3年生の6月から勉強を開始し、週3日大学の講義、週2日のアルバイトをしながら勉強をしていました。」(財務諸表論の合格者。財務諸表論 合格者インタビューを読む)
「フルタイムで働きながら勉強していました。」(事業税の合格者。事業税 合格者インタビューを読む)
働きながら合格した人もいれば、学生のうちから勉強を始めて合格した人もいて、学習環境は人それぞれです。「この環境なら必ず合格できる」という一般化はできませんが、置かれた環境の中で工夫しながら合格まで到達した実例として、参考にしていただければと思います。
合格後のキャリア — 会計事務所でどう働けるか
税理士試験は、合格までに数年単位の時間がかかる試験です。だからこそ、これから受験するかどうかを判断する材料として、「合格したら何が変わるのか」を先に知っておくことが役立ちます。
会計事務所名鑑では、会計事務所への取材や求人情報の蓄積をもとに、合格後にどのような働き方ができるのかを具体的に紹介します。
すでに受験を決めている方にとっても、これから先の就職・転職先を考えるときの参考にしていただけます。
合格前でも、科目合格の段階から採用の対象になる
税理士試験は5科目すべてに合格していなくても、就職・転職の選択肢が閉じるわけではありません。
会計事務所の採用では、簿記論・財務諸表論などの会計科目に合格している段階や、税法科目を1〜2科目合格している段階でも、実務経験を積みながら残りの科目に挑戦する人材として採用されるケースが多くあります。
大手会計事務所がどのような人材を求めているかは「大手会計事務所が採用したい人材とは?」で詳しく解説しています。
科目合格の段階で就職・転職し、働きながら残りの科目に挑戦するという進め方は、税理士試験に特有の「科目合格制」があるからこそ成立するキャリアの組み立て方だといえます。求人票や面接の場では、合格済みの科目数そのものだけでなく、残りの科目にどのような計画で取り組んでいくかを聞かれることも少なくありません。学習を継続する意思や、働きながら勉強時間を確保する見通しを具体的に説明できるかどうかも、選考で見られるポイントの一つだといえます。
科目合格の段階で何が評価されるか
科目合格の段階にある応募者は、実際にどのような点を評価されているのでしょうか。
会計事務所への取材で共通して挙がるのは、合格済みの科目数そのものよりも、これまでどのように学習を積み上げてきたか、という取り組み方そのものです。着実に1科目ずつ合格を重ねてきた経緯や、実務と並行して学習を継続してきた実績は、今後も学習を続けていけるかどうかの判断材料として見られやすいとされています。
また、科目合格の段階では、これまでどのような業務に携わってきたかという実務経験の中身も重視されます。会計事務所の業務は、税務申告書の作成だけでなく、顧問先とのやり取りや資料の取りまとめなど幅広く、机上の知識と実務対応力の両方が求められるためです。
すでに会計事務所や税理士法人での勤務経験がある人は、科目合格数が同程度の未経験者と比べて選考で有利になりやすい傾向があります。
もう一つ、取材を通じてよく挙がるのが、学習を継続する姿勢そのものへの評価です。
税理士試験は科目合格制のため、入所後も学習を続ける前提での採用になるのが通常です。面接では「あと何年でどの科目に挑戦する予定か」「働きながらどのように学習時間を確保するか」といった具体的な計画を尋ねられることが多く、抽象的な意欲の表明よりも、これまでの学習実績に基づいた現実的な見通しを示せるかどうかが判断材料になっているようです。
就職先のタイプと仕事の違い(一般の会計事務所/大手・準大手/BIG4/事業会社)
税理士試験の合格者・科目合格者の就職先は、大きく分けて次のようなタイプがあります。
- 地域に根ざした一般の会計事務所・税理士事務所: 中小企業や個人事業主の顧問業務が中心で、一人当たりの担当件数や業務範囲が幅広くなりやすい
- 大手・準大手会計事務所: 中堅〜大企業の顧問や、より専門的な税務(組織再編・国際税務など)を扱うことが多い
- BIG4税理士法人(KPMG・PwC・EY・デロイト トーマツ): 外資系企業やグローバル企業を中心とした税務コンサルティングを扱う
- 一般事業会社の経理・税務部門: 税理士としての専門性を活かしつつ、企業内で税務を担当する働き方
事務所によって、新人のうちからどれだけ裁量を持って業務を任されるかや、担当する顧客数・業務の幅、繁忙期の忙しさの度合いも大きく異なります。
一般に、地域に根ざした事務所では一人ひとりが担当する業務範囲が広く、早い段階から顧問先対応を任される機会が多い一方、大手・準大手やBIG4税理士法人では専門分野ごとにチームが分かれ、特定の業務を段階的に深く掘り下げていく働き方になりやすい傾向があります。
どちらが優れているというものではなく、幅広い経験を早くから積みたいか、特定分野の専門性を段階的に高めていきたいかという志向によって、向いている事務所のタイプは変わってきます。
それぞれどのような仕事内容・特徴があるのかは、
「会計事務所とは?6つの種類と仕事内容・求める人材まで徹底解説」で全体像を、
「大手・準大手会計事務所とは?BIG4との違いと各法人の特徴を解説」で大手・準大手の各法人の特徴を、
「BIG4税理士法人とは?仕事・残業・年収・採用基準を解説」でBIG4税理士法人の詳細を、
それぞれ紹介しています。事務所によって、担当する顧客の規模や業務範囲、専門性の方向性が大きく異なるため、税理士試験の合格を目指す段階から、将来どのようなタイプの事務所で働きたいかを意識しておくと、科目選びや実務経験の積み方を考える参考になります。
合格後の待遇はどう変わるか
税理士試験に合格し、税理士として登録すると、給与や待遇の面でも変化が生じるのが一般的です。
科目合格者と税理士登録者とでは任される業務の範囲や責任の重さが変わることが多く、それに応じて待遇にも差がつく傾向があります。ただし、その水準は事務所の規模や地域、担当する業務分野によって幅が大きく、一律に語れるものではありません。
具体的な年収の水準や、勤務税理士・開業税理士による違いについては「税理士の年収の現実とは?500万〜3,000万円の年収帯別に働き方を解説」で詳しく紹介しています。
事務所選びで見るべきポイント — 取材からわかること
会計事務所と一口に言っても、規模や専門分野、働き方は事務所ごとに大きく異なります。会計事務所名鑑では、実際に会計事務所で働く税理士・スタッフへの取材を重ねており、待遇や仕事内容だけでなく、事務所の雰囲気やキャリアパスの実際についても取材記事として紹介しています。事務所選びで実際に差が出やすいのは、次のような点です。
- 未経験者・科目合格者への教育体制(先輩によるOJTの有無、研修制度など)
- 繁忙期(確定申告や年末調整の時期など)の忙しさや残業の実態
- 担当する顧客層(中小企業中心か、上場企業・外資系企業も含むか)
- 将来的な独立や転職を見据えたときに、事務所としてどこまで支援する文化があるか
これらは求人票の文字情報だけでは判断しにくく、実際に働く人の声を確認することの意味が大きいポイントだといえます。
「会計事務所で働く税理士に聞いたキャリアの実際」では、入所した経緯や仕事のやりがい、繁忙期の忙しさといった、求人票だけでは伝わりにくい情報を、事務所選びの視点となる生の声としてお読みいただけます。
また、実際の求人情報から、年収やエリア、事務所の規模といった条件で事務所を探したい場合は「会計事務所の求人を年収・エリアから探す」もあわせてご覧ください。
試験勉強と並行して、どんな事務所で働きたいかのイメージを持っておくことは、科目の選び方や実務経験の積み方を考えるうえでも役立ちます。
よくある質問(FAQ)
Q. 税理士試験は年に何回ある?
A. 年に1回、例年8月に3日間の日程で実施されます。実施日は年度によって多少前後しますが、令和8年度(第76回)は8月4日(火)〜6日(木)に行われました。年に複数回受けられる試験ではないため、科目ごとに毎年1回のチャンスに向けて準備を進めることになります。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
Q. 申し込みはオンラインでできる?
A. できます。令和8年度(第76回)試験から、国税庁の「税理士試験WEB申請オフィシャルサイト」で電子申請ができるようになりました。従来使われていたe-Taxによる手続きは令和8年3月31日で終了しているため、電子申請を行う場合はWEB申請オフィシャルサイトを利用します。書面(郵送)での申し込みも引き続き可能です。(※税理士試験(国税庁))
Q. 受験料はいくら?
A. 受験する科目数によって変わります。令和8年度(第76回)の受験手数料は、1科目4,000円、2科目5,500円、3科目7,000円、4科目8,500円、5科目10,000円でした。金額は収入印紙で納付します。年度によって金額が変わる可能性があるため、出願時に最新の受験案内で確認することをおすすめします。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
Q. 試験は何日間?どの日にどの科目?
A. 3日間で実施されます。令和8年度(第76回)は、1日目に簿記論・財務諸表論・消費税法又は酒税法、2日目に法人税法・相続税法・所得税法、3日目に国税徴収法・固定資産税・住民税又は事業税が行われました。1科目あたりの試験時間は2時間です。日程や組み合わせは年度によって多少変わるため、受験する年度の官報公告で確認します。(※令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁))
Q. 試験の点数は教えてもらえる?
A. 令和8年度(第76回)から教えてもらえるようになりました。これまでは5科目合格者(官報合格者)・一部科目合格者に得点は通知されていませんでしたが、国税審議会が令和8年8月21日に方針を公表し、全受験者に各科目の得点が通知されることになりました。(※税理士試験の合格発表における得点通知の見直しについて(国税審議会))
Q. 合格したらすぐ税理士を名乗れる?
A. いいえ、試験に合格しただけでは税理士を名乗ることはできません。税理士として業務を行うには、5科目すべての合格などによって資格を取得したあと、税理士名簿への登録を受ける必要があります。合格から登録、実際に税理士として働き始めるまでの流れは「税理士になるための条件と登録までの流れ」で詳しく解説しています。
※参考:本記事は税理士試験の概要(国税庁)、税理士試験の受験資格(国税庁)、令和8年度(第76回)税理士試験の実施に関する公告(国税庁)、税理士試験に関するよくある質問(国税庁)、税理士の資格取得(日本税理士会連合会)をもとに作成致しました。









