国税庁長官に可部哲生氏就任、競馬利益18億円無申告で追徴税額10億円、国税庁新任職員の集団研修再開など3件まとめ:今月の税理士業界ニュース(2020年7月その2)

7月20日、21日、25日に、国税庁、税金関連のニュースがリリースされています。

「国税庁長官に可部哲生氏就任」、「中国人男性、競馬利益18億円無申告で追徴税額10億円」、「国税庁新任職員約820人が集団研修を再開」に関する記事をご紹介します。

国税庁長官に可部哲生氏就任

国税庁長官と言えば、財務省の主税局長や、理財局長からの登用が多く見られますが、今回の人事は理財局長を勤められていた、可部哲生氏に決まりました。

今回、国税庁の可部哲生氏の長官就任に関する記事が、日本経済新聞よりリリースされています。

20日就任した国税庁の可部哲生長官(57)が同日記者会見し「税務を取り巻く環境は新型コロナウイルス対応など様々な新しい課題を抱えている。納税者に寄り添い、誠心誠意、職責を果たしていきたい」と抱負を述べた。

引用元:国税庁の可部哲生長官「納税者に寄り添う」 就任会見(日本経済新聞 2020年7月20日付)

記事によると、可部氏は、新型コロナウィルスの対応としてe-Taxの充実が重要と抱負を語っており、ICTの充実を推進していくものと見られます。

国税庁では、新型コロナウィルスの影響で困窮している納税者に向けて、申告期限の延長や納付猶予制度など様々な救済制度を打ち出していますが、長引く不況の出口はいまだに見えない状況です。疲弊している納税者の負担を軽くするような、柔軟な制度運用を期待したいところです。記事には詳細が報じられていますので、こちらをご覧ください。

中国人男性、競馬利益18億円無申告で追徴税額10億円

競馬の馬券の払戻金に係る所得が50万円を超えた場合、一時所得として申告する必要がありますが、そんなに利益を出したことがなくて申告が必要だと知らない方もおられるのではないでしょうか。

今回、競馬利益18億円を申告しなかった中国人男性に関する記事が、日本経済新聞より出ています

競馬で得た利益約18億円を申告しなかったとして、名古屋市中区の30代の中国人男性が2019年、名古屋国税局の税務調査を受け、所得隠しを指摘されていたことが21日、関係者への取材で分かった。追徴税額は約10億円に上るもよう。

引用元:競馬利益18億円申告せず 中国人男性、払戻金95億円(日本経済新聞 2020年7月21日付)

記事によると、男性は、2018年までの5年間で、約95億円の払戻金を受けていたのですが、馬券の購入代など経費を差し引いた利益18億円を申告していなかったと伝えられています。

同じ事件が中日新聞でも報じられています。

競馬は副業として中国の投資グループから資金提供を受け、独自の競馬予想ソフトを使ってインターネットで馬券を大量購入していたとみられる。

引用元:馬券利益18億円申告せず 中国人男性、名古屋国税指摘(中日新聞 2020年7月21日付)

競馬利益が12億円と聞き金額の大きさに驚かれた方もいると思いますが、多額の資金は、中国の投資グループから資金提供を受けていたということです。

払戻金は約95億円にも上っており、複数回に分けて口座に入金されていても1回あたりの入金額がかなり多額で、無申告がバレないはずはないと思うのですが。日本の税制を知らなかったとしか思えない大胆さです。記事には詳細が報じられていますので、こちらをご覧ください。

国税庁新任職員約820人が集団研修を再開

国税庁が今春採用した職員向けに行う研修は、二転三転したのち、在宅でのオンライン講義に変更され一件落着したところでした。ところが、国税庁の集団研修問題が再燃しているというのです。

今回、国税庁の集団研修再開に関する記事が、JIJI.COMよりリリースされています。

新型コロナウイルスの影響で延期されていた国税庁の集団形式での新任職員研修が、埼玉県や大阪府など全国4カ所で再開した。

引用元:国税庁の集団研修再開に「なぜ今?」 寮生活の研修生ら不安―新型コロナで一時延期(JIJI.COM 2020年7月25日付)

記事によると、再開したのは高卒程度の職員約820人を対象とした普通科研修で、7月6日から順次再開しているということです。国税庁の担当者は、オンラインでは指導が行き届かないと説明しているようですが、研修者からは憤りの声が上がっていると伝えられています。

国がテレワークを推進する中で、リアルな研修を強行する国税庁。もう少し再開のタイミングを探ることはできなかったのでしょうか。記事には詳細が報じられていますので、こちらをご覧ください。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧

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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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