海外旅行サイトのインボイス逃れを許すな:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

インボイス制度は、ETCや振込手数料の取扱いなど、法律以外の国税庁の裁量で、信じられない要件緩和が認められています。

インボイスの法令上、現状の実務に即していない部分がありますので、このような形で要件緩和をしている訳です。

その中で、現状新たに生じている問題の一つに、海外の旅行サイトの取扱いがあります。

国内でホテルに泊まった際、ホテルから発行されるインボイスを保存しないと原則として消費税の控除が認められません。

しかし、海外の旅行サイトを経由して国内のホテルを予約すると、そのホテルはインボイスを基本発行しません。

この理由は、海外の旅行サイトが決済を管理しているため、予約した顧客がお金を支払ったかどうか、国内のホテル側では管理ができないからと言われています。

とは言え、国内のホテルは国内でサービスを提供している以上、原則としてインボイスを交付する義務があります。

そして、インボイスがなければ、日当でホテル代を精算する特例の適用を受ける場合を除き、顧客の方では消費税の控除もできない訳で、非常に大きな問題と言えます。

この点、対応方法について税務当局のインボイスの相談センターに質問したこともありますが、担当者はこの問題について理解していました。

冒頭の、ETCや振込手数料については、インボイスに伴う事務処理負担が大きいため要件緩和されています。

しかし、それとは異なり、海外の旅行サイトの問題は運営者側で対応できる話なので、運営者に責任があることは間違いありません。

この点を踏まえたからか、最近国税庁からQ&Aが出ています。

このQ&Aでも触れられていますが、消費税には「媒介者交付特例」という、委託販売などで使われるインボイス制度の特例があります。

委託販売の場合、その売上は委託者のものですので、本来は委託者名義のインボイスを委託者が発行しなければなりません。

しかし、実際の顧客に委託品を販売するのは、委託を受けた受託者ですから、お客に対しインボイスを現実に渡すのは受託者になります。

この点を踏まえ、委託者の売上であるにもかかわらず、受託者名義でインボイスを交付できるというのがこの媒介者交付特例です。

海外予約サイトを使った予約も、ホテルが海外サイトに販売を委託して販売されていますから、委託販売とは大きく変わりません。

このため、上記のQ&Aについても、海外予約サイトを経由したホテルの予約は、原則としてこの特例の対象になると言われています。

しかし、この特例は委託者・受託者ともにインボイスの登録をしておかなければ認められません。

海外旅行サイトの運営はおそらく外国人のケースが多いと思われます。

インボイス登録をすると日本の消費税を納めることになりますので、外国人の多くは登録しないと思われます。

実際、海外の旅行サイトには「インボイスを発行しない」旨が書かれていることも多くあり、運営者がインボイス登録をしていないことを明言しています。

このあたり、現行と実務が変わらないようなら、税務当局は厳しい対応を考えるべきでしょう。

追伸、

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:海外旅行サイトのインボイス逃れを許すな– 経営・会計コンサルティング

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