コロナ禍の役員報酬減額が退職金に影響、租税条約は海外資産調査にも、M&A取得価額の70%損金算入など3件:元国税調査官・税法研究者 松嶋洋が語る 税法解釈と税務調査の真実

元国税調査官・税法研究者 松嶋洋が語る_税法解釈と税務調査の真実

このコーナーでは、元国税調査官・税法研究者・税理士である松嶋洋氏のFacebookでのコメントをご紹介していきます。

今回は12月16日、21日、23日のコメント「コロナ禍の役員報酬減額が退職金に影響」「租税条約は海外資産調査にも」「M&A取得価額の70%損金算入」の3件をご紹介します。

コロナ禍の役員報酬減額が退職金に影響

コロナ禍の業績悪化で、やむを得ず役員報酬を減額する企業も多いと思いますが、この役員報酬の減額期間のタイミングで役員が退任してしまうと退職金の算定で不利になってしまうと言うのです。

国税速報第6636号(2020年12月7日)によると、課税庁が功績倍率法に用いる最終報酬月額は、新型コロナウィルス感染症の影響で役員報酬を50%減額した場合は、50%減の報酬月額が最終報酬月額になると伝えられています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、社会常識と税の常識は大きく異なるので注意が必要とコメントしています。

体調不良など致し方ない理由もあるかもしれませんが、可能なら、役員退任は役員報酬を増額変更するまで待つのが得策ということのようです。

租税条約は海外資産調査にも

平成30年から共通報告基準(CRS)に基づき、各国税務当局で金融口座情報が交換されており、国際的な租税回避に対する税務署の調査が厳しくなっています。CRSは金融口座情報になりますが、これ以外にも、租税条約に基づいて海外資産情報の把握が行われているというのです。

税務通信 No.3635(2020年12月21日)によると、被相続人名義の多額の国外送金に対する調査手段として、租税条約に基づき外国税務当局に海外資産の保有状況を確認して、課税価格約8.5億円の海外資産が把握されたと伝えられています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、租税条約は相続税の情報も交換できるので、海外は安全ではないと注意喚起しています。

2020年12月19日付の日本経済新聞の記事でも、2020年6月までの1年間で海外資産に絡む申告漏れ件数は149件と過去最多に上っていると報道されています。海外資産を利用した租税回避に対する調査は重点的に行われており、納税者には賢明で誠実な申告が求められています。

M&A取得価額の70%損金算入

令和3年度の税制改正大綱が決定されました。

国税速報第6637号(2020年12月14日)によると、他の法人の株式等の取得をした場合(取得価額が10億円超を除く)、取得価額の70%以下を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、準備金をその事業年度において損金算入できるとする、新たな制度が税制改正大綱に盛り込まれたと伝えられています。

これに対してFacebookで、松嶋先生は、取得価額を損金算入できるエンジェル税制的な取り組みだと、一定の評価をされています。


この制度を利用したい企業は、令和6年3月31日までに中小企業等経営力強化法による計画認定を受けることが必要です。有利な税制でM&Aが促進されるとともに、損金算入で買手企業の株価を下げることもできるため、事業承継を考えている中小企業にとっても有効活用されそうです。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋

元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

平成14年東京大学卒業後、国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、企業税制研究所(現日本税制研究所)を経て、平成23年9月に独立。

現在は通常の顧問業務の他、税務調査対策等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈をフル回転させるとともに、当局の経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んで解説した、税制改正解説テキスト「超速」シリーズは毎年数百名の税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。

著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』『社長、その領収書は経費で落とせます!』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という200回を超えるコラムを連載中。

<参考サイト>

<著書>

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧

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