クラウド会計ソフトの最新シェア1位は?MM総研が発表、元税理士事務所員が顧客から2億円詐取など2件:今月の税理士業界ニュース(2020年6月その1)

5月19日と29日に、クラウド会計ソフト、税理士関連のニュースがリリースされています。

「クラウド会計ソフトの最新シェアは?MM総研が発表」、「元税理士事務所員が顧客から2億円詐取」の2件の記事をご紹介します。

MM総研がクラウド会計ソフトの利用状況調査を発表!2020年4月のシェア1位は弥生

会計事務所で働く方々にとっては、顧客である事業者にとってクラウド会計ソフトとデスクトップ版ソフトのどちらが人気なのか気になるところです。クラウド会計ソフトはどの程度までシェアを広げているのでしょうか。

MM総研から毎年恒例のクラウド会計ソフトの利用状況調査(2020年4月末)」が発表されました。

この調査は、確定申告を行う個人事業主を対象にクラウド会計ソフトの利用状況を調査したものであり、2015年以来、毎年行われています。会計業界では毎年話題となる調査ですので、注目されている方も多いかもしれません。

今回、2020年4月20日~27日の期間に行われた最新の調査結果がリリースされました。

クラウド会計ソフトの利用者割合が20%台に到達

調査結果によると会計ソフトを利用している個人事業主は33.9%を占めた。その内、インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフト(※1)の利用率は21.3%で、前回調査(2019年3月)の18.5%から2.8ポイント増加した(図表1・2)。

引用元:クラウド会計ソフトの利用状況調査(2020年4月末)(株式会社MM総研プレスリリース 2020年5月19日付)

MM総研が行ったアンケート調査結果によると、会計ソフトに占めるクラウド会計ソフトの利用率は、2016年の9.2%から右肩上がりに上昇し続けて、2020年に初めて20%台になったと伝えられています。

クラウド会計ソフトが開発される以前から確定申告ソフトを利用している人は、引き続きデスクトップ版を利用している人が多そうなので、新たに確定申告を始めた人の多くがクラウド会計ソフトを利用しているものと考えられます。

「弥生」がトップシェア、「freee」が2位に浮上

次に、どの事業者のクラウド会計ソフトが人気なのでしょうか。昨年のシェアは、弥生、マネーフォワード、freeeの順位で3社の寡占状態となっていましたが、今年は順位に変動があったようです。

クラウド会計ソフトの事業者別シェアでは「弥生」が56.7%、次いで「freee」が21.1%、「マネーフォワード」が16.8%で、上位3社で94.6%を占めた

引用元:クラウド会計ソフトの利用状況調査(2020年4月末)(株式会社MM総研プレスリリース 2020年5月19日付)

リリースによると、弥生は昨年57.0%から若干減少していますが、変わらず過半数以上のシェアを占めています。また、昨年2位のマネーフォワードを抜いてfreeeが2位となりました。

freeeは昨年2019年12月に上場していることから、知名度や会社に対する信頼度が上がったことが、シェア増加に影響を与えているのかもしれません。

外出自粛で自宅作業が増えたり、多様な働き方が広がる中、今後もクラウド会計ソフトのニーズは高まりそうです。

下記のMM総研からのプレスリリースでは、各ソフトのシェアやその推移など、図表を交えて詳細が報じられていますのでぜひご覧ください。

元税理士事務所員が顧客から2億円詐取

税理士事務所は、個人情報や会社の機密事項に触れる機会が多く、顧客から信用を得ることが大切ですが、その信用を裏切るような事件が起きてしまいました。

今回、元税理士事務所員が詐欺容疑で逮捕された事件に関する記事が、朝日新聞よりリリースされています。

税金の処理をかたって顧客から車の購入費400万円をだまし取ったとして、警視庁は、東京都町田市成瀬8丁目の元税理士事務所員●●●●*を詐欺の疑いで逮捕し、29日発表した。

*●●●●の部分は元記事では実名公開されていますが、本記事では伏せさせて頂きます。

引用元:「顧客から2億円詐取」元税理士事務員、詐欺容疑で逮捕(朝日新聞 2020年5月29日付)

記事によると、容疑者は、容疑を含め顧客10人から計約2億円を詐取し、株取引などの損失の穴埋めやキャバクラに使ったと伝えられています。

職員個人の口座へ振り込みをさせていたと聞き驚かれた方もいるかもしれませんが、被害にあった企業は「税理士事務所だから大丈夫」という安心があったのかもしれません。記事には詳細が報じられていますので、こちらをご覧ください。

(著者:大津留ぐみ / 大津留ぐみの記事一覧

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【大津留ぐみ:公認会計士・税理士/会計士・税理士専門ライター】 大学在学時にシェイクスピアを学んだことをきっかけに劇作家を目指すも挫折。編集プロダクションで編集やライティング業務に従事した後、公認会計士試験にチャレンジし合格。大手監査法人の東京事務所にて監査業務、財務デューデリジェンスなどに従事。 その後、フリーランスの公認会計士として非常勤監査、税理士法人の社員税理士として税務業務に従事しつつ、大津留ぐみのペンネームでライターとしての執筆活動にも従事。ライターとして、お金、社会保障、会計、税務などに関する記事を執筆。また、2児の母となったことをきっかけに、子どもの貧困や教育格差、子どものイジメに関する記事なども執筆。現在は、株式会社ワイズアライアンスの専属ライターとして会計・税務の記事を執筆しつつ、会計事務所にて内部統制業務にも従事するパラレルワーカー。公認会計士・税理士。

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