「事業の用に供した日」の意義:元国税調査官・税理士 松嶋洋が語る!税務署の実態と税務調査対策ノウハウ

元国税調査官が税務調査対策すべてお話しします_元国税調査官・税理士_松嶋洋

本記事は元国税調査官・税理士 松嶋洋がセブンセンスグループのメルマガに掲載したコンテンツの再掲載です。記事内で言及されている法令ならびにその解釈はメルマガ掲載時のものとなります。

建物などの固定資産については、減価償却費を計上することで毎期少しずつその取得価額を費用にします。

ここで問題になることとして、減価償却費を計上できるスタート地点である、「事業の用に供した日」の解釈があります。

固定資産を取得しても、実際にビジネスに使わないと減価償却費を認めるべきではない、という考え方から、取得日ではなく実際に事業に使用した「事業の用に供した日」から、減価償却することになっています。

パソコンなど、取得した日からすぐに使えるものであっても、例えばレンタル用に車を買った場合などは疑義が生じます。

取得した車は使えるものの、借手がつかなければ、事業に使ったとは言えないのではないか。このような疑問が浮かびます。

この点、国税の内規を見ますと、「事業の用に供した日」とは、
①資産の属性に従い、
②本来の用途用法のとおり現実に
使用を開始した日を意味する、と解説されています。

捕捉しますが、①の資産の属性とは、固定資産における資産の区分、具体的には税法で設けられている機械装置や器具備品など、固定資産を細分化した区分を意味すると思われます。

先の通り、パソコンなどの器具備品は取得するとすぐに使えるものが多いですが、反面、超高額な機械装置の中には、試運転などをするまでは本格的に使えないものもあります。即ち、資産の区分によって、「事業の用に供した日」の判断が変わる場合があります。

これに関し、太陽光発電設備とそのフェンスについて、「事業の用に供した日」の判断が問題になった裁決があります。

国税は、フェンスは太陽光発電設備のために設けられるもので、単独では機能を発揮しないとした上で、両者を一体の「機械装置」と捉えました。

フェンスについても「機械装置」の一部ですので、発電設備の減価償却と同様に、実際に発電設備が稼働した日が「事業の用に供した日」であると国税は主張しています。
しかし、この裁決事例では、フェンスは「機械装置」である発電設備ではなく、「構築物」という別の資産と判断しています。

発電設備が実際に稼働しなくとも、フェンスは建築されれば太陽光発電設備の盗難などを防止するという役割を果たすことができますので、そのタイミングが「事業の用に供した日」であるとされたのです。

この判断は、上記②にも影響します。
資産の区分に応じた本来の役割が重要になりますので、先のレンタルの車についても、レンタルできる状況にありさえすれば、レンタルという本来の役割を果たすことができます。

このため、借手がいなくてもその車を顧客にレンタルできる状態になった日が「事業の用に供した日」になります。
少し難しいですが、資産の本来の役割は何かを踏まえながら、この点慎重に判断する必要があります。

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元国税調査官・税法研究者 松嶋洋とは?

元国税調査官・税理士・松嶋洋元国税調査官・税法研究者・税理士
松嶋 洋

昭和54年福岡県生まれ。平成14年東京大学卒。国民生活金融公庫(現日本政策金融公庫)、東京国税局、日本税制研究所を経て、平成23年9月に独立。
現在は税理士の税理士として、全国の税理士の税務調査や税務相談に従事しているほか、税務調査対策・税務訴訟等のコンサルティング並びにセミナー及び執筆も主な業務として活動。とりわけ、平成10年以後の法人税制抜本改革を担当した元主税局課長補佐に師事した法令解釈と、国税経験を活かして予測される実務対応まで踏み込んだ、税制改正解説テキストは数多くの税理士が購入し、非常に高い支持を得ている。
著書に『最新リース税制』(共著)、『国際的二重課税排除の制度と実務』(共著)、『税務署の裏側』、『社長、その領収書は経費で落とせます!』『押せば意外に 税務署なんて怖くない』などがあり、現在納税通信において「税務調査の真実と調査官の本音」という500回を超える税務調査に関するコラムを連載中。

参考サイト

著書

引用元:「事業の用に供した日」の意義|セブンセンスグループ

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