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本日、令和7年度(2025年度/第75回)税理士試験の結果が発表されました。
合格された皆様、おめでとうございます。
また、惜しくも合格とはならなかった皆様、来年は良い結果をつかめますよう祈念しております。
さて、今年の税理士試験の結果に関するまとめと考察をお届けします。
今年の税理士試験合格発表のポイントは以下です。
夏の記事でお伝えした通り、税理士試験の受験生は増加傾向にありますが、合格者数も昨年より増加となっています。
令和7年度・第75回 税理士試験合格発表のポイント
- 合格者の総数(実人数)は前年比2,085名の増加
- 合格者数、合格率ともに増加
- 30歳以下の官報合格者数は169名と前年比27名の増加
受験者・合格者数と合格率
合格者は7,847名、昨年から2,085名の増加
本年の税理士試験の受験者・合格者数と合格率は以下のようになっています。
令和7年度・第76回 税理士試験合格発表の概要
- 受験者数:36,320名(延べ52,236名)
- 合格者数合計(実人数):7,847名(官報合格者数:527名、一部科目合格者数:7,320名)
- 合格率:21.6%
本年の合格者(一部科目合格者含む)は7,847名であり、昨年の5,762名から2,085名の大幅な増加となりました。また、合格率も昨年の16.6%から21.6%へと上回る結果となりました。
税理士試験の合格者数は、受験者数と一定の相関性がありますので、受験者数の増加に連動し合格者数も増加しています。近年の税理士試験は受験者数が上昇トレンドにありますが、本年は受験者数に連動して合格者数も無事に増加との結果となりました。
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合格率に関しては、多少の変動はありつつも、中期的には15~20%の間で推移しておりますが、本年は21.6%と一昨年と同様の高めの結果となりました。下記に直近18年分の合格率の推移をまとめてありますが、こころなしか右肩上がりになっているように見えなくもありません。
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官報合格者の数は、数年ごとに増減を繰り返しつつ中長期では減少傾向にありますが、本年は527名と昨年に比べて51名の減少となり、ダウントレンドが続いています。
税理士試験の受験者数が5年連続で増加しているにも関わらず、官報合格者の数が増加していない点は非常に興味深く、税理士試験へのチャレンジをスタートしてから、官報合格までの期間が長くなるという特徴が反映されているのかもしれません。
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男女別の合格者数
女性の合格者比率は28.7%
合格者の性別は以下のとおりです。
令和7年度・第75回 税理士試験合格者の男女比
- 合格者合計:7,847名(男性:5,593名、女性:2,254名)…女性比率28.7%
- 官報合格者:527名(男性:386名、女性:141名)..女性比率26.8%
- 一部科目合格者:7,320名(男性:5,207名、女性:2,113名)..女性比率28.9%
合格者に女性が占める割合は28.7%となっており、一昨年の29.7%、昨年の30.6%からやや下がったものの、合格者全体の約3割となっています。
また、合格者に占める女性比率を数年間のトレンドでみると、徐々に右肩上がりとなり、直近数年は30%前後で推移し、徐々にではあるものの増えてきている印象があります。まだまだ女性の数が多いとは言えませんが、女性の数が増えていること自体は、多様性の推進や女性活躍といった観点からも業界全体にとってもプラスにと言えるでしょう。
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年齢別の合格者数
20歳以下での官報合格者も!30歳以下の官報合格者はわずか169名!
年齢別の合格者数は以下のとおりです。例年通り若い年齢ほど合格率が高くなっています。
そして、20歳以下の官報合格者が2名おられます。昨年も1名おられましたが、すごいですね…
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また、30歳以下の官報合格者数は169名と、昨年の142名から大きく増加しています。
この169名という数字は、47都道府県で平均すると1都道府県当たり約3.6名という人数になり、若手税理士の希少価値の高さがわかる数字ともなっています。
また、30歳以下の官報合格者数は以下のグラフの通り、年々減少傾向にありましたが、直近は4年連続で増加しています。官報合格者の総数が増えていないにも関わらず、30歳以下の合格者数は増加していることから、やはり税理士試験は若いほうが有利と言えるのかもしれません。
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科目別の受験者数・合格者数・合格率
合格率最高は財務諸表法の31.9%、最低は消費税法の10.1%
科目別の受験者数・合格者数・合格率は以下のとおりです。
本年の科目で、最も合格率が高かったのは財務諸表論の31.9%でした。昨年は8%だったものが、今年は31.9%と大きく跳ね上がっています。この財務諸表論の合格率に関しては、直近4年において、14.8%→28.1%→8.0%→31.9%と乱高下しており、国税庁側でもう少し安定させることはできないのか…と思うのも正直なところです。
そして、今年、合格率が最も低かったのは消費税法の10.1%でした。消費税法は、税法科目の中で最も受験者数が多いだけに、合格率が低い=不合格で涙をのむ人も多く、厳しい結果となりました。
全体の合格率は、一昨年から昨年にかけて18.8%→13.5%と減少していましたが、本年は横ばいの13.5%となりました。5科目を揃える必要がある税理士試験の形態を考えると、もう少し高いほうが受験者としては安心して税理士を目指せるのかもしれません。
※合格者数・受験者数は複数科目受験者・合格者を含む延べ人数。
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税理士や科目合格者、会計事務所経験者はまだまだ人手不足
2025年は生成AIの進化が大きな話題となりました。会計事務所業界においても例外ではなく、これまで漠然と「AIに代替される」と言われていた税理士業務において、少なくとも直近でAIが担うことができる業務がクリアになってきました。ごく一部ですが先進的な会計事務所では、業務に生成AIを活用し、会計ソフトベンダーもAIを組み込んだサービスのリリースが始まってきています。
一方で、業界全体では、引き続き人材不足が続いており、求職者(応募者)側が有利な採用環境は続いており、税理士や科目合格者、会計事務所経験者、本年の合格者のみなさまにとっても、就職・転職活動は比較的行いやすい状況であると言えます。
テクノロジーの進化のスピードがものすごいため、数年後の業界も予想しにくい時代ではありますが、それらを活用することによって、従来とは異なる税理士の形を作っていくチャンスも生まれてくるかもしれません。新たに税理士業界に入ってきてくださった方々も含めて、皆様の今後のキャリアがより良いものになることを祈念しております。
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※参考:本記事は令和7年度(第75回)税理士試験結果(国税庁)をもとに作成致しました。
























